ノラネコの呑んで観るシネマ

忍びの国のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

忍びの国(2017年製作の映画)
3.3
時代活劇として、まあまあ楽しめた。
しかし、これは非常にアンバランスな映画だ。
主人公の無門をはじめとする伊賀の忍者衆が、金の為なら何でもする人でなしで、非感情移入キャラなんだな。
それぞれの内面も殆ど描かれない。
逆に彼らを攻める織田軍の方が、じっくり描写されてる。
味方に感情移入できず、敵には出来ちゃうから、敵の方を応援したくなりドラマ的なカタルシスが生まれない。
大野智の無門は面白い奴なんだけど、彼はどちらかと言うとジャック・スパローみたいなトリックスターで、むしろ鈴木亮平演じる平兵衛の方を主役にした方が、話に一本筋が通った様に思う。
名誉やら忠誠やら色々ガチガチな侍の世に、ひたすら金の忍者の価値観がアンチテーゼになるという対立構図は良い。
無門を軸に描くのなら、コミックリリーフ的な扱いはせずに、石原さとみ演じる妻をもっと絡ませて、早くに葛藤を抱えさせるべきではなかったか。
あとCGバリバリなのはそれほど気にならないが、全体に画作りがペタッとしていて、時代劇らしい空気感に欠けるのは残念。
光が回りすぎてるのも気になる。