ケイ

メリー・ポピンズ リターンズのケイのレビュー・感想・評価

3.5
旧作『メリー・ポピンズ』は子供の頃から大好きな映画。新作『メリー・ポピンズ リターンズ』は、旧作の続編であると同時にリメイク版でもあり、旧作への愛と新しいミュージカル映画を作ろうという意気込みの両方が感じられる作品だった。
名曲だらけの旧作の楽曲は一切使わず、けれどアニメーションとの融合や場面の繋がり方は旧作をなぞっていて、すごく頑張っているんだけど…個人的には、どうせなら旧作はなぞらず全て新しく仕切り直した方が良い作品になったのでは?と思った。なぜなら、旧作の構造を大切にし、それをなぞった展開にするために、かえって旧作の要であるバンクス一家の設定や“スプーン一匙の砂糖”として一家をそっと助けるメリー・ポピンズの立ち位置が、なんだかちょっと無理な形にされてる感じがあったから。
旧作でマイケルを演じていた少年は20代で亡くなっていて、だからこそ、作中のマイケルは不運に見舞われず静かに暮らしていて欲しかったのに、のっけからとても孤独で胸が痛むし。マイケルの子供たちも、メリー・ポピンズによって驚きと魔法に満ちた体験をする…と言うより、ストーリーの大前提に解決すべき家を取り巻く問題があるせいで、どうにも無邪気な“小さな冒険”とはならないし。そして何より、悪役がいるのがしんどい。旧作でドース・シニアが宙に浮くように、甥っ子ドースも風船で飛ばせてあげて欲しかった。メリー・ポピンズの世界に、勧善懲悪はいらなかった…。

と、いろいろ残念に感じるところはあったけど、明るくキリリとした佇まいがメリー・ポピンズそのものだったエミリー・ブラントを始め、キャストはとても素敵だった! 終盤に登場するヴァン・ダイク(90歳超!)には胸震えました。桜通りの見事な再現、美しい映像にも大満足。