Emma

アリー/ スター誕生のEmmaのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
4.0
ストーリーはシンプルで驚かされるような内容ではないですし、胸が詰まるようなやるせなさが残るので、幸せになれる映画では決してありません。

それでも、ガガの女優としての能力の高さ、撮影数ヶ月前からプロのミュージシャンに師事して演奏や立ち居振る舞い、トレーニングで歌唱を教わったブラッドリーのミュージシャンとしての遜色ない存在感に圧倒され、すごく物語に引き込まれ、良いものを見させて頂いた、という満足感で胸がいっぱいになりました。

個人的に、芸能人とかスター夫婦ってほんとなんでそんなにすぐ離婚すんねん!ってゴシップマガジンめくりながら思っていた時期がありましたが、この映画を見て、同じ業界で同じ志を持つがゆえの夫婦でいる難しさってものが存在するんだなあと、生々しく感じ取ることができました。

夢を分かち合うことで絆を深めたはずなのに、その夢に一歩近づくごとにプライドや嫉妬に苛まれ絆が試されるのは、とても人間らしいと同時に、見ていてつらかったです。

最後まで愛を貫いた2人だけど、けっきょく相手を思うがゆえに選んだ選択肢でもあり、何かもっと他の道はなかったのかと悲しくて仕方ありません。

ちなみに、ブラッドリーが兄役のサムに尊敬していたのは兄だよとガレージ前で伝えるシーン、有名な話ですがサムは、この時ブラッドリーがなんて言うかぼんやりしか知らされていなかったようで、その後目に涙を溜めながら車を出すあの顔も、シーンはとうにカットがかかっていると本人は思っていた中で見せたリアルに感情が込み上げた表情だという逸話があります。あの一瞬でぶわっと涙が溢れました、私も。

ブラッドリーの監督としての手腕には、プロデューサーも初監督なんて信じられない!って舌を巻いていたようで、今後の彼の映画業界でのキャリアがどう築かれていくのか、そこがとても楽しみな1本にもなりました。

悲しい物語ではありますが、ガガのあの最後の目線には鳥肌が立ちまくりで。スターになるべくしてなったアリーはガガそのものでもあるように感じました。
Emma

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