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くすぐりのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

くすぐり(2016年製作の映画)
2.3
劇映画っぽいスリリングさにウッカリ到達してしまった、こわ〜いドキュメンタリー。

Netflixによる世にも奇怪なこのドキュメンタリー映画は、映画としての面白さや出来の良さは二の次で、製作者は本作を公の場に公開することを、目的とされた、いわば暴露本のような形を取っている。

その訳は本作を観れば、即座に納得いくだろう。

ニュージーランドの記者デイヴィッドは、ネットに上がっていた『くすぐり我慢大会』という明らかにフェチ御用達の動画を発見し、早速取材に取り掛かる。
しかし「同性愛者とは話せねぇ」の一点張りで、相手にされない。それでも接触を試みる主人公は、いつの間にか、法的な攻撃を受け裁判沙汰に。
どうやらこの『くすぐり大会』主催者は、かなりヤバい連中らしく、その闇に潜んでいる正体とは?

本作は、ネット上での悪質な攻撃による個人情報の拡散バトルが大半を占め、事実は小説よりも奇なりな、ビックリ仰天のミステリーへと発展していく。

特に前半は、ドキュメンタリーと偽った、『オーソンウェルズのフェイク』のような、「信じる、信じないは貴方次第」的なグレーな物か?と疑うほどだが、これがどうやらガチっぽい。
と気づく瞬間が、今まで感じたことのないホラーが身体を凍りつかせる。
真相に迫るほど、私たちの知らない世界へと誘われていく様は、まるでアイズワイドシャットの様な薄気味悪さに包まれます。

しかし本作、ミステリーではないにしろ、結末がかなり腑に落ちない。
もちろんドキュメンタリーですから、1〜10まで全て明かされるのは不可能だが、あれだけ興味を煽っときながらで、この結末は物足りない。

個人的には「気になって夜も眠れない」なフワフワした終わり方が消化不良でした。
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