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胸騒ぎのLudovicoMedのネタバレレビュー・内容・結末

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

《実はちょっとシャマランぽい? そしてあるタブーをぶち込んだことによる珍作ホラー》

予告編もノーチェックでなにも知らないデンマーク/オランダのホラーを観に行った。その姿勢が吉と出たようでこれが超びっくり。まさか、そういう映画やったとは!な衝撃のサプライズが用意されていた。これは是非バイアス抜きで観て大いにびっくりしてほしい案件なので、あなたもひとまず映画館へGOだ。


ネタバレalart!↓↓




















久々に、これぞネタバレ映画だった。本作は構造やドンデン返しにネタが仕込んである類いではなくむしろ衝撃はウリにせず、不意に訪れる最悪のラストで観客をトラウマさせるタイプとなる。つまり詳しくは言わずともあんまりネタバレネタバレ言うと構えてしまい不意打ちが台無しになってしまうため非常に紹介が難しい。例をあげるならちょうど『ミスト』に近いタイプのネタバレ映画といったところか。
とにかく鑑賞中、あらゆるホラークリシェをチラつかせてはフェイクのように中々軸足つかず掴み所がない。ただその裏をかく、わざとっぽさが個人的に好ましくなかったが、こういう最悪ラストを試みたホラーとして十分観る価値アリな作品だ。

旅行先で出会った一組の家族から数週間後自宅に招待される。それも同じ出身国かと思いきや、デンマークの主人公一家は車で7時間かけ先方宅のオランダへ向かう絶妙な見知らなさだ。しかし全力のおもてなしを受けるも次第にエキセントリックな動きを目撃してしまう様子を如何にも悪いことが起こりそうな演出や音楽で並べられる。これはヤベェ奴らだとそーっと逃げ出すとすんなり脱出成功してしまう。ところが娘がぬいぐるみを忘れてしまったと駄々を捏ね、泣く泣く取りに帰るエキセントリックなご都合主義に修羅場展開を予感させる。すると絶妙に頼りない夫の弁解のせいで気まずさが爆発し、エキセントリックな相手夫婦側にも目くじら立てられない的空気で丸く収まってしまう。なるほどこれはホラーの皮を被った言語の壁が生じさす気まずさ心理の皮肉系だな、とジョーダンピールかぶれを予想するもまだ奇抜なライフスタイルを丸出しで居心地の悪さが違う意味で劇場を覆う。

これが笑っていいのやらどっちつかずな緊張感を主張してくる感じがまるでシャマラン映画の要領だったことから、実はこれコメディなのだ。しつこく繰り返される怪しい一家のスパルタ教育、それにドン引きするもドン引きの本音を吐き出せない距離感。何度も脱出を試みるも都合よく車のトラブル発生で捕まる頃には爆笑していた矢先、とんでもなく痛い描写が観客を戦慄させる。現実ではまず起こらないだろう絶対に観たくない想像すらしたくないむごい行為をしかもかわいいかわいい子供にやってしまう。両親の目の前で。あの悲鳴を聞かされる地獄を味わってはもう生きる気力を失うだろう精神状態のまま、逃げ出すチャンスは何度もあったのにと運命を受け入れ服を脱がされる様子に言葉を失った。

確かにこのラストは非常に不快であるが終始イライラさせる父親の主人公の行動原理を見るに警戒心の低さが導く運命だった気もしてきた。
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