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幼な子われらに生まれのぴよぴよのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
3.9
家族の形は色々…実の親子でもこじれた気持ちの持って行きどころは難しい。離婚が珍しくない今はもっと複雑な家族関係がたくさんあるはず。

離婚した妻との間に小学生の女の子がいて、再婚した妻の連れ子も小学生と幼稚園の2人の女の子…そして今、妻のお腹には新しい命が宿ってる。

そんな浅野忠信演じる主人公信は、連れ子の長女の反抗期に悩む。血が繋がってないからあんたなんかパパじゃないと罵られる。

前の妻との娘も新しい父との関係に複雑な思いを抱えて彼を頼ってくるし、会社ではリストラの対象にされ、身重の妻からは責められ…いやいやこれは精神的にきつい。よく冷静に対処してるよ。

どこにでもありそうな家族の葛藤が、リアル過ぎて胸に刺さる。子供は残酷…歯に絹着せぬ言葉が容赦なく気持ちを萎えさせる。

腹立つわぁ〜!誰のおかげでご飯食べてそこまで大きくなったと思ってる?あなた何様?実の子供でもそう思うんだから、虚構の他人同士の親子関係…そんなに綺麗事ではいかないよね。親と子供の複雑な思いが絡み合う。

素直になれない子供の気持ちもわからないじゃない。トンがった心を受け止める度量の広さが親には求められる。いやぁ〜私には無理…って言うか無理だった😰

でも…最後に生まれてきた小さな命を見ると、何もかも許せる気持ちになる。今シーズン夢中になって見ていたTVドラマ"透明なゆりかご"の赤ちゃん誕生シーンと同じ。何だろう…この無垢な存在は。全てを浄化する。

悩みながらも全てを静かに受け止める事が出来る浅野忠信のお父さん像が良かった。それぞれの子供達の素直な感情の噴出も胸を打つ。

家族のあり方を考えさせられる良質のドラマでした。
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