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ワンダー 君は太陽のhirogonのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.1
トリーチャーコリンズ症候群という遺伝子異常で生まれたオギー(ジェイコブ・トレンブレイ)。
顔の変形があり、小さい頃から手術を繰り返していた。

母イザベル(ジュリア・ロバーツ)に勉強を教わってきたが、小学5年生から学校に通い始める。当初、オギーは通学の途中などできるだけ顔を見せないようにヘルメットを被っている。でもある時、ヘルメットが紛失したこともあり、だんだんと素顔を見られることに慣れていく。
周りの子どもたちも、初めこそびっくりしたり噂や嘲笑の対象になるんですが、徐々に慣れていく。
台詞でも言ってましたが、外見的な特徴は慣れるんですね。それでも、一部にイジメは残る。


(以下、ネタバレ)
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オギーはイジメや心無い言動に傷つきますが、温かい両親、姉、友人たち、、、それから犬のデイジーにも励まされます。
辛い時は、好きな宇宙のことを考えるオギー。
チューバッカ、宇宙服、の妄想シーン。
小さな宇宙服姿の跳ねるような動きは可愛かったなあ。
だから、本作はオギーの辛さを描きつつも温かく明るさに満ちている。

確かに、オギーが背負ったものは重いのですが、普通に見える人たちも、それぞれに悩みを抱えている。
オギーからの視点だけでなく、オギーを囲む人たちの視点や悩みも描かれます。オギーだけでなく、彼を囲む人達の視点を挿入したことで、オギーの状況も相対化されて見ることができます。
姉のヴィア、その親友のミランダ、両親のイザベルとネート、オギーのクラスメイト~ジャック・ウィル、サマー、ジュリアンら、、、程度の差はあれ、それぞれに悩みや葛藤を抱えています。

ヴィアはオギーの通学のタイミングで高校生活スタート。
彼女も新しい環境で悩みつつも、新しい出会いや経験を重ねます。
彼女と親友ミランダとのサブストーリーは、良かったです。
劇中劇「わが町」のヴィアの演技と台詞に、何か涙が…。
これは、ソーントン・ワイルダーとう人が書いた本でピューリッツァー賞受賞の作品だそうです。
劇としての台詞とヴィアが役を演じる状況が重なって、胸に迫るものがありました。

そして、オギーの存在は、徐々に周りの状況も変えていきます。
ジャック・ウィル、サマー、ジュリアンの取り巻きたちもいつのまにかオギーに注目しています。オギー賢いし、やっぱり魅力あります。
イジメの主犯格だったジュリアンは、最後には反省の色も見えかけていたのに、両親の転校という選択で折角の機会を失ってしまったのは残念。この両親は最低でした。

ラストは、終業式でのオギーの表彰場面。
皆が、その受賞を喜んで賞賛しているのはいいシーンでした。
表彰場面でのトゥシュマン先生の言葉。
「相手を知るには、相手をよく見ること」

「ワンダー君は太陽」という題名もいいですね。
まさに、オギーは周囲を照らす太陽のような存在でした。


P.S.)”トム少佐”
ミランダが、TELでオギーのことを”トム少佐”と呼んでいたのですが、その呼び名の背景も知りたい。ミランダとオギーのこの会話のシーンも良かった!
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