復讐、生け贄、親子の悲劇などを描いたギリシャ神話「アウリスのイピゲネイア」を元にしたスリラー。
繊細な脚本とカメラワーク、音楽によってずっと不穏な120分。
人間や家族の存在意義を俯瞰で捉え、冷めた目で描いたランティモス監督の一種のドS映画でしょうか。
心臓外科医のスティーブンのミスにより父を亡くしたマーティンが彼の一家に復讐をするといった物語。
子供たちの脚が麻痺したり、目から血を流したり、なぜ?どうして?と不可解なことがあるけれど答えは一切ない。
ギリシャ神話を紐解くほどに深みは増します。復讐が復讐を生むといった悲劇で、セリフもいちいち意味ありげですが、個人的にはそこまで興味は沸かず。
マーティン役のバリー・コーガンがよいです。いるだけで不気味さを感じさせる顔立ち。
息子のボブ役は「mid90 s」で印象に残ったサニー・スリッチ。やっぱり気になる冷めた瞳。
外科医役のコリン・ファレルが、立場上、嫌とは言えずどんどんマーティンに追い込まれていく心理描写は好き。
とても面白かったけど、観終わって何も感じない。心が麻痺しました。