みみみ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのみみみのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

あなたが僕の家族を1人殺したから
あなたも自分の家族を1人殺さなくてはいけない
フェアかは分からないけど、それが正義だから

【あらすじ】
美しい妻と2人の子どもと共に暮らす心臓外科医の男。家庭の外で、彼はある少年を何かと気遣っていた。そんなある日、彼はその少年を家に招き入れ、家族に紹介する。するとその日を境に、家族に奇妙な変化が表れ始める。

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ずっとモヤモヤ、最後まで観てもモヤモヤ、内容にもキャラクターにもずっとモヤモヤ。なんかそんな映画だった。

1番のモヤモヤはマーティンの不思議な能力?のこと。マーティンはスティーブンに「殺す家族を1人選べ。選ばなければスティーブン以外の家族は1.下半身麻痺→2.食欲不振→3.目から出血を経て死ぬことになる」と告げ、実際に子ども2人がそうなるのだが、どうも薬の類で仕掛けているわけではなさそうだった(何度も病院で様々な検査をしていたし、尽くせる手は尽くした結果原因も分からなかったので)。結局あれは何だったのか、超常現象すぎてこれが1番モヤモヤした。

あとは女性陣の態度。全てを知った後、奥さんはマーティンの足にキスすらしていたし、勝手にマーティンを逃していた。娘は弟のボブに対して「お前は父から選ばれる(殺される)。本当は父もそう思っていないと思うけど。」とスティーブンが言いもしていないことをボブに吹き込んでいた。なんかもう情けないというかモヤモヤするというか、そういった感情が止まらなかった。目の前で起こっていることがこのまま進行していく(=いずれは自分も死んでしまう)ことに気づいたから命を助けてほしいという気持ちは分かるが、根本的な原因に対しての対処をしようとせず、無様なリアクションを取るのが本当にモヤモヤした。いやどうだろう、これがリアルなのかも、という気もしないことはなかったのだけれど。

そして本編には関係ないけど、洋画に出てきがちか今回も登場した「強い女」として描かれる女性が苦手すぎる。今回の奥さんもスティーブンに対して「黒いドレスを着てあげる」という発言をしたり、トラブルが起こった際に勝手に1人で突っ走ったりしていたけど、いやそれが強さじゃないだろう、と思うことが多々ある。男尊女卑が正義とも言わないけど、どちらが上ではなく、もっとフラットにいるべきだろう、と(フィクションの映画にこんなこと言っても仕方がないのだけれど。)」

でも結局1番モヤモヤしたのは、娘がずっと何かを知ってそうだったこと。奥さん(お母さん)に対して序盤から「体調は大丈夫?」と聞いたり、「次はあなたの番。逃げられない。」と発言したり、何か色々と知ってそうな雰囲気があったことにはずっと引っかかっていた。結局説明されず終いだったけど、マーティンと仲良くしたから色々聞いていたのかなあ。

なんかずっと不穏だし、ずっとモヤモヤする映画だなあ、と思っていたけど、監督がロブスターと同じ方なのね。なんか納得した。
みみみ

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