とらキチ

アリーガルの夜明けのとらキチのレビュー・感想・評価

アリーガルの夜明け(2015年製作の映画)
3.9
IMW2022パート1 ⑧
今更ながら、今回のIMW2022パート1 はいろんなカタチでの“人を愛すること”そして、その先にある“結婚”についての作品を集めていたのだなぁと気づきまして😅そんな中で、今作も“愛すること”をテーマとしていた作品。
刑法によって長年、同性間の性行為が犯罪とされてきたインドで2009年、デリーの高等裁判所がそれを違憲と判断。 だが2010年、大学教授が同性愛行為を盗撮され、解雇される事件が発生する。実話に基づく社会派ドラマ。大学を追われた教授と、その事件の真相を追う記者との間の友情。後ひく余韻が素晴らしい良作。
1番印象的だったのが、記者が女上司と、教授が車夫とそれぞれ“愛し合う”シーン。この2組のシーンを並べて見せることで「異性同士と同性同士で、やってること自体に違いはありますか?」って問いかけられているようだった。
元々教授は争うことを嫌う教養豊かな知識人で、浮世離れした人。だからこそ、周囲に学部長就任を妬まれ、謀略によって嵌められ、その後の自らの解雇の無効を訴える裁判でも、どこか他人事のような感じで、挙げ句には審理中にも居眠りしてしまっていたのだろう。それでもインドという国での生きづらさを感じていて「アメリカに渡りたい」と酔っ払って記者に話す姿はとても切ない。
ラストに突きつけられる、その後のインドの現実。ちょうど今日、似たような司法判断が日本でも示され、いろいろ考えさせられた。
それにしても、あの裁判での大学側の女性弁護士の弁論での無茶苦茶な物言い、アレこそセカンドレイプに近いのではないのかと思わされた。
とらキチ

とらキチ