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百年後の或る日のTnTのネタバレレビュー・内容・結末

百年後の或る日(1932年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

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 とのことで、またちょっと前にtwitterでバズっていたので鑑賞した。磁力で移動するリニアモーターカーや前澤社長のごとく宇宙旅行や、地味に未来像を的中させてて面白い笑。そんな今作は戦中に死んだ霊を呼び起こすという内容も伏せ持ち、さらに最終的にロケットが十万億土、つまり極楽へと向かっていますという洒落っ気を踏まえ、単なるSFではない味わいを残していた。戦死した魂が、文明の利器を使って冥土に向かう話、それに振り回される未来人はある意味戦後という処理しきれない問題を一生背負うということの暗示にも見えなくも無い。と、そんな素振りを今作は表立ってしてるわけではないので、普通に見れば気楽に楽しめる作品になっている。

 レタリングとかデザインとかの凝りようが良くて、どのカットも平面的で図柄ぽくて良い。白と黒のコントラストもよく、影絵のよう。エスタブリッシング・ショットが、その平面性としてまず美しく、その後人物が映り込みそれがなんであるかわかってくるという二段オチ。あと文字も良い。ただ、日本語ってこんなに読みづらいっけ?となった。「せう」が「しょう」なのぐらいはわかるけど、「さ」みたいな字が「こ」だったりして一瞬混乱した。

 グラフィカルな表現はなかなかで、地球を離れるシーンでgoogleアースみたいに地表を離れていく手法とか面白い。平面的な作品で如何に距離とかを表現するのか、意匠が凝らされている。また、ラストのロケットの混乱をメーターの乱調によって表現する洒落っ気。サイレントという音のない中で、画面のなかの秩序の乱れでその恐怖感を煽るのとか上手い。ラストで字幕が幾つもオーバーラップされるのだが、文字のオーバーラップによって音が重なっているような表現の代用になっている。

 「最早最後です、皆さん左様なら」
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