きんゐかうし卿

ウィジャ ビギニング ~呪い襲い殺す~のきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

 

自宅にて鑑賞。日本劇場未公開作、原題"Ouija: Origin of Evil"。『呪い襲い殺す('14)』の前日譚となる続篇。邪悪な者として、昨今では瞳が無くなり黒目のみになる事が多いこのジャンルにおいて前作同様、終始白目のみへの変化で統一されていた。ボードを意識した表記からプランシェットからの覗き見を思わせる凝ったスタッフロールへと続き、前作へ直結する橋渡し的なおまけのシーン有。遊び心さえ感じさせる丁寧な作りだったが、前作の様なじわっと来る薄気味悪さは影を潜め、全体に恐怖度も低かった。55/100点。

・俯瞰から回転させたり、90度横倒しすると云ったアングル等、巧緻でユニークなカメラワークが随所で観られた。

・オープニングの(ロゴを含めた)タイトルコールから全篇の色調に至る迄、時代設定や懐古的な画作りが徹底されている。フルデジタルで撮影されたが、レトロな演出の一つとして、約20分でリールチンンジを報せるパンチマークがポストプロダクションにて追加されたと云う。冒頭の"Universal Picture"も'60年代風のタイトルロゴだったが、下段には'13年にユニバーサルを買収した親会社コムキャスト(A Comcast Company)の表記が追加されていた。

・"Hi Friend"と云う挨拶や首の痛み、洗面所における鏡のシーケンス、エンドロール後のラストショット等、前作との繋がりや想起させるお約束シーンが鏤められている。前作で触れられていたストーリーを踏襲してはいるが、ウィジャボード自体はきっかけに過ぎす、家や家主に纏わる因縁噺に終始しており、前作とは随分雰囲気が変わった印象を受けた。

・そもそも描かれている内容が前作では'40年代後半~'50年代初頭にかけて起こったとされていた筈だが、本作では冒頭のテロップにもある通り、1967年へと再設定・変更されている。

・更に前作内では、E.リーサー演じる“アリス・ザンダー”が一流の霊媒師として言及されており、L.ウィルソンの“ドリス・ザンダー”の口を縫合したのも“アリス”だったとなっていた様に思う。“リーナ・ザンダー”のA.バッソも前作より共感出来うるキャラクターへと変更されている。

・前作のティーンエイジャーのグループから家族を中心にした物語へ舵を切った変換、登場するクリーチャー、作品を包む雰囲気等は『インシディアス』シリーズ('10・'13・'15・'18)を彷彿させる……と思ったら、製作者等、複数のスタッフがシリーズから参加していた。

・本作単独でも人の心を読んで答えると説明されていた邪悪な存在が、懐妊時のシャワーのエピソードを長年見続けていたから知っていたと矛盾する様な説明があり、他にも些細な齟齬を来す箇所が散見出来た。

・冒頭で紹介されるウィジャ・ボードの三っつのルール──・一人で遊ばない ・墓場で遊ばない ・さよならを云って終える 前作ではクライマックス等で活かされていたが、本作では紹介のみに留まっており、ストーリーには絡んでこなかった。

・“ザンダー”家のロケは、『ライト/オフ('16)』と同じ屋敷が使用されたらしい。地下室のシーンでは、監督の前作『オキュラス/怨霊鏡('13)』でストーリーのメインとなっていた鏡がさり気無く写り込んでいる。

・鑑賞日:2018年4月28日