まるみ

サバイバルファミリーのまるみのレビュー・感想・評価

サバイバルファミリー(2017年製作の映画)
2.4
サバイバルって絶妙な「老け舞台」

なんと言っても深津絵里。
この役が何歳の設定なのかは知らないが、あらゆる方法で何とか自然な加齢感を纏おうと苦慮しているのが伺われる。

最近では女優に限らず「老けない俳優」というのはゴロゴロしていて、
寧ろ上手く老けを取り入れ、俳優のステージを移行させる事ができずゴタゴタと渋滞を起こしている現状のように思う。

深津絵里も例外ではなく、三谷幸喜の映画で「なかなかにキツイ事をやらされてるなぁ」と思ったのは2011年頃だった。

まあ、とても美人なので。「あえて老けない」ままで行く。という事もない道ではない。役の幅は狭まるが。

などと思っていたら、今作を観てちょっと驚いた。
割とボーッと見始めてしまっていた為、ハッとしてしまった。

深津絵里の第一声(だったと思う)がとても「老けて」いたからだ。
不自然だった訳ではない。とても自然だったし「それでも綺麗すぎる」という、
女優相手に言うのはあまりに馬鹿馬鹿しい事を除いては、
その演技の加齢への試みは成功していたと思う。


そもそも相手役が小日向文世?という疑問はあったのだった。
それでもそんな感じになっているかもと予測できなかった理由のひとつに、
家族4人が写るポスターのビジュアルにはそれほど加齢感がなかった事があるだろう。

そのポスターの場面は物語でいえば割と後半の方だったはずだ。
実際に映画の中でも、前半における眼鏡を掛けて「日々に何となく疲れ諦めている母親」を分かりやすく演じている姿は良い塩梅で枯れているのだが、

物語が進み、続く過酷なサバイバル生活の中で汚れていくにしたがって、皮肉にもどんどん綺麗になり若返っていく。


もちろんそういう風に撮っているのは分かるのだ。
演出や演技プランの失敗ではない事は、後半の深津絵里の恐ろしいまでの美しさの前では疑いの余地はない。

見知らぬ男に怪我した足に包帯を巻いてもらいながら、
亡くした(と思っている)夫を想うシーンなどは映画のコンセプトを揺るがしかねない色気がダダ漏れであった。


結局は前半の加齢も後半へのフリでしかなかった訳だ。
それでも、駒を進めたのは間違いないのだろう。

同年代の女優でもここまで老けてみせたのはあまり思い当たらない。
割と上手く駒を進めている戸田菜穂や水野美紀なんかでも、ここまでの物はなかったように思う。

しかし、サバイバル物というのはちょっと老けてみせたい(と同時に若さもアピールしたい)俳優にとって格好の舞台装置だなあ、
なんだかどうなりたいんだか不思議な感じになっている中山美穂なんかもやればいいのに。サバイバル。

映画本編に関しては、時任・紀香ファミリーの絶妙なキャスティングに感心しオファーを受けた紀香はどう感じたのだろう、という感慨、

そしてもし大地康雄がでんでんだったら、と想像しかけてすぐに止めた事以外には特に印象に残っていない。
2018/8/14
まるみ

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