HomareKarusawa

アヴリルと奇妙な世界のHomareKarusawaのレビュー・感想・評価

アヴリルと奇妙な世界(2015年製作の映画)
2.8
些細な愚行が世界を絶望に満ちたものに変えるし、地味なひとりひとりの意思が世界を守るというメッセージは評価したい。
とはいえ後半になるにつれストーリーがダイジェスト感一杯になってくる。

ジブリ感がうるさい(笑
飛行船や要塞のカットで薄々感じていたけど、電極が青く輝き出して女の子がイヤイヤするシーン、家に脚が生えて歩き出すシーンで、この作品のやりたかったことが見えてしまった。森に胞子も飛んでたし。
さすがに宇宙を巨大樹が漂うシーンはなかった。

主人公や相棒が地味なのも意図してデザインしたもの。大人になったアヴリルは現実主義で問題解決志向。作中通して変わらない性格は、あの煤けた世界で孤独に生きてきたから。中盤で「女の子らしい」ピンクのワンピースに着替えたのは恋をしていることと一応お姫様枠なのを表しているのかな(似合わないのだけれど)。

ピゾーニ警部が徹頭徹尾エゴイストかつ無能なままだったのが残念。終盤の混乱の中でアヴリルたちのピンチを助けるみたいな活躍をして欲しかった。

メインビジュアルの「ふたつのエッフェル塔」はこの映画が「歴史のもしもの世界」の物語であることを意味しているのだろう。
秘密基地が「あの場所」にあることが判明するくだりは、暗い「もしもの世界」が終わり、現実に似た世界に収束することを意味する。一方、世界が縮こまって見えてしまうマイナス効果もあると思った。
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