まめまめちゃん

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

3.6
ドイツの戦後。ナチ残党ははびこり、戦犯はどこかで潜伏し再度浮上する時を伺っているような時代に、正義を遂行しようと奮闘するユダヤ人検事長の話です。

戦犯をドイツで裁くべきであるという信念の元、この映画の主人公の検事長バウワーは、正義を遂行しようとするほど困難が増します。常に批判され、不機嫌だし、孤独だし、懐疑的。タバコ吸うし、この人が死ぬなら心筋梗塞か脳血管障害か殺されるかだろって感じです。

彼の腹心アンガーマンのエピソードは、映画的エンタテインメント性を添えるための?フィクションのようです。
この時代のヨーロッパの、マイノリティの人権の低さであったり、低さ故の政治的利用及び犠牲もあったのだということでしょう。

それに比べるとアドルフ・アイヒマンの、新聞読みながら電車に乗って通勤、みたいなあまりに普通の生活が、自由で清々しいのです。どちらが罪を償うべき人間なのか疑いたくなるような描き方は、ドイツの戦後のなあなあさ加減を表現する意味では秀逸だったと思います。

それにしてもホロコーストものを見るとドッと疲れてしばらく映画見たくなくなるのはいつもホント困る。