ラリパッパなトラやライオンが檻の外でフリーダムなお食事会!
内容そのまんまな邦題通りに、コンピュータ制御された最新鋭の動物園から猛獣たちが逃げ出して街がパニックになるという、範馬勇次郎が喜びそうなシチュエーションのアニマルパニックホラー。
子供の頃にテレビで観て以来、機会があったらまた観たいと思っていた映画でして、気付いたらHuluで配信されていてラッキーでした。
正直、いろいろと微妙でしたが(汗)。
登場する猛獣は、トラ、ライオン、象、白熊、チーター、ハイエナなどなど。
水道水に「ゾンビ・ダスト」と呼ばれる麻薬が混入されてしまったためにジャンキーとなってしまった彼らは、気が狂ったかのように破壊や殺戮衝動に駆られ、象さんが檻をぶち破り、コンピューターがおかしくなって他の動物たちの檻もフルオープン、動物園を集団脱走しちゃいます。
ちなみに、最新の電子制御という割に、その制御コンピューターやら何やらのメカニック類の古臭さといったら、製作年を鑑みてもあまりにもショボい造作でビックリ!
オープンリールを使ってないだけ、まだマシか・・・(苦笑)
夜の大都会にはなたれた猛獣たちは、気の向くままにテロ行為をはたらきだします!
象さんがパオーン!と、人の頭を踏み潰す!
チーターが車と追っかけっこした挙句、大事故発生!
ライオンやハイエナが家畜の牛さんやブタさんを食べちゃう!
象さんたちが空港の滑走路で散歩、着陸しようとしした旅客機が爆発炎上!更には発電施設も巻き添えになって街は大停電!
停電で立往生の電車にトラが乱入!
学校では子供たちをディナーにしようと白熊が襲い掛かる!
しかも、動物園と関係ないところでもネズミや飼い犬が狂いだし、車中でイチャイチャしていたカップルがネズミの大群に喰い殺されたりしちゃいますよ!
ご丁寧に(小ぶりな)オッパイもかじられちゃう!
残酷描写は程々なレベルでして、そんなにグロくはありません。食い散らかされた死体とかは出てきますけど、思わず目を背けてしまうほどじゃないので苦手な方も大丈夫かと。
このての映画にしては、動物が暴れ出すまでが早くて、パニック描写の尺が割と長くとってあります。
どうでもいい人間ドラマも適当な作りが幸いしてか冗長さがなく、テンポも悪くはないので観て辛いということは無いのでは?
というか、本当に人間ドラマ部分は雑な作りでして、一応、フェロモンムンムンなヒゲ面と女性記者のカップルが主人公として登場しますが、別にいてもいなくてもどちらでもいいような感じなんですよね。
とりあえず狂言回しとしてだしとくか・・・ぐらいな存在でしかなく、そんなのはどうでもいいから猛獣が人を襲うところを見せちゃる!といった潔さが身上みたいな出来栄え。
基本、本物の猛獣を使って撮影していて、ライオンが牛さんに飛び掛かっているのも本物なので現在だったら同じようには撮影できないでしょうねえ。
「食人族」の亀さんどころではないし!
しかし、異様なリアルティが醸し出されているのも事実で、昨今の安っぽいCGでごまかした某スタジオ製のパニック映画では味わえない「本物の迫力」が堪能できます。
それにしても、素人が言うのもなんですが壊滅的に演出がド下手ですので、映画として面白いかというとそんな事もないという・・・
ふつう、こういう映画ってクライマックスにメインのパニックシーンがあったりするもんじゃないですか。
例えば女性記者の娘が白熊に襲われて、間一髪でヒゲ面が助けてハッピーエンドとか。
街中が猛獣と停電でパニック状態なのにすぐに娘を学校に迎えに行かず、ヒゲ面と事件の原因を調べている女性記者をおかしいと思いつつも(娘のことを気遣う台詞も殆どない)、きっと最後には娘の危機を助けるんだろうと思っていたら、別の意味で驚愕のラストシーンが待っていて「なんじゃそりゃ」と、ズッコケましたよ!
本当の猛獣は人間じゃよ・・・とでも言いたいラストだったのでしょうか?
肝心の猛獣たちは、すっかりヤクが切れておとなしくなってるし・・・(やっぱり、あとで禁断症状が出たりするのだろうか?)
事態の収拾もパニック映画の醍醐味のはずなのに、「大都会はいつ狂うかわからない云々・・・」などと適当なモノローグだけで済ましてしまうあたり、本当に「本物の動物を使った」以外に評価できる点が見当たらないボンクラ映画でした。
でも、人間って知恵をつかって危険な天敵(猛獣)を遠ざけ、安心な生活空間を手に入れてきたわけじゃないですか。
それが脅かされるとどうなるのかを分かりやすいビジュアルでみせてくれるカタログ映画としては良く出来ていると思いましたよ。
huluにて