ryodan

エルネストのryodanのレビュー・感想・評価

エルネスト(2017年製作の映画)
4.2
阪本順治監督作。
ソダーバーグの作品にも登場していたマエムラ。別のアングルからみたゲバラ像。彼の魅力は礼節を重んじるところ。自分自身をわきまえ、必要以上に大きく見せない。逢ったことはもちろんないが、その魅力に惹きつけられる。建国間もないキューバの理念も新鮮だった。今となっては誰が勝って負けたのか、何が正しかったかはよく分からんけど、ただ言えることは「原爆が日本に落とされた」ということ。今作はキューバやボリビアの話だけではなく、海の向こうを経由して自分の国の事実と向き合う話の様な気がする。名もない何万の市民が大量殺戮兵器で無残にも殺されたということ。もし戦争がなかったらマエムラの父親は南米に移住しなかったかもしれない。あのゲバラが怒り心を痛めた惨劇を今一度見つめなおす作品だとも思う。もちろん制作陣が日本人だからなおさらなんだけれども。勝者と敗者は紙一重だけれども、強者と弱者は決定的に違う。その抵抗が革命だったんだなと思う。理想に燃えるマエムラのバックグラウンドを知ると、彼の取った行動にも胸を打たれる。そのマエムラに血と肉を吹き込んだオダギリジョーさん、見事でした。

個人的に「Japón si ! yankee no !」って言いたい!
ryodan

ryodan