うにたべたい

ザ・コングのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ザ・コング(2005年製作の映画)
3.7
タイトルの通り、人間を襲う怪物ゴリラが登場するモンスターパニックものです。
2005年に製作されているので、同時期にリリースされたアサイラムのゴリラ映画同様、ピーター・ジャクソン版のキングコングを意識した作品だと思います。
ただ、ゴリラが登場するという点以外に共通点は無く、ゴリラの可能性を模索した新しい観点でのゴリラ映画ですね。

ストーリーは、まず未確認の巨大生物のものと思われる骨が発見されます。
その調査をするため研究者達が森林の奥地へ向かうのですが、彼らを案内するため雇われたパークレンジャーのロジャーが本作の主人公です。
探検隊は、調査を行う研究所の教授とその助手として2人の若い女性、パークレンジャーはロジャーを含む男性4人と女性1人です。
森の奥で何かを埋葬したような骨を発見し、思わぬ大きな発見に大喜びの研究者ですが、その後、レンジャー隊員の一人が行方不明になってしまいます。
行方不明のレンジャー隊員を探すメンバーですが、そんな折、ロジャーは巨大な何者かに襲われてしまいます。
ロジャーは、いなくなった隊員の妹を説得し、取り急ぎ森を出ることを決めるのですが、その何者かは隊員たちを一人、また一人を襲ってゆくという展開です。

ストーリーは超王道で、わかりやすく安心感があります。
何者が暗闇の中で主人公を狙っている演出も良く、監督のやりたいことはストレートに伝わってくる作品です。
また、モンスターパニックにしては珍しく登場人物が全員理性的です。
この手の映画ではたいてい調子に乗ったおバカキャラがいらんことしてトラブルの引き金を引き、さらに火に油を注ぐような行為をした挙げ句、あっという間に殺されたりするものですが、襲われた理由にもしかたなさがあり、映画の脚本・展開に対してツッコミどころがあまりないです。
そのため駄作と切って捨てるには惜しい作品だと思います。

ただ、映像がチープすぎるのが残念なところで、夜のジャングルの闇が深すぎて何も見えず、襲われると即死体に変わるので、モンスターパニックものですが観てて恐怖感はなかったです。
特に登場するゴリラが、明らかにゴリラの動きをしていないのは致命的です。
ゴリラって上体をかがめて四足で走ると思うのですが、本作に登場するゴリラは両手を振りながら全力疾走で追いかけてきます。
全力で走ってくる着ぐるみ丸出しのゴリラを、「うわあー!」とか叫びながら銃でバシバシ撃つので、勢いも相まって思わず爆笑しました。
ゴリラの設定は練られているのに、撮影時に両手振って走ったらゴリラにならないと気づけなかったのか。

話がわかりやすくテンポも良くエンターテイメント性は高かったので、おそらくもっと演出にお金をかけることができれば名作になったのではないかと思います。
悪くは無いのですがおすすめもできず、評価に苦しむ作品です。