アキ

関ヶ原のアキのレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.8
岡田准一という役者の背なから立ち上がる男の色気ともいうべき煙に昨今やられてる。「海賊と呼ばれた男」の出光佐三にも感じられたことだけどこの人には巧さは言わずもがな、観る者をグッと引き寄せる特殊な強さがあるんだよね。立ち方とか目の動きとか足の運びとか。
むろんその容貌は石田三成とは随分乖離があるんだろうけども、別段三成じゃなくてもよいというか、堂々と三成らしさを演じれば演じるほど岡田准一に、三成本人がススっと寄ってくるような奇妙な感覚を覚えるわけで、こうした機能はまさに役者としての才覚がピカイチであることの証左でもあって、家康を演じた役所広司にも言えることだけど、ともかく憑依しているというかなんというか岡田はこの作において完全に石田三成だし役所広司も完全に徳川家康で、家康の三成に対して浴びせる罵詈讒言「ハラワタが煮えくり返る」との言質はまさに家康の生の言葉であると同時に役所のそれでもあって、関ケ原における二大武将のぶつかりでもって僕は少なくとも150分間、1600年へとタイムスリップした。
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