このような女帝がいたという事実そのものを、この作品で初めて知った。が、侯族というより、ほとんど時代の被害者に近いような存在で、最後はとても哀れな感じがした。
正直なところ、もし日本の皇族だったらこのような〝歴史の狭間で宙に浮いてしまう〟みたいなことはないのではないだろうか? もしかしたら皇室の重みが日韓では違うのかもしれない。
まあ、それはともかく映画そのものはとても心に沁みた。鑑賞後もしばらく余韻がつづいたほどだった。あとで史実を確認すると、かなり食い違う部分が多いことに気づいたのだが、そのままではドラマにならないと判断されたからだと思う。脚色としては妥当ではないか。
たしかに彼女は何もしていない。が、厳密には〝何もさせてもらえなかった〟のだと思う。ひとはだれでも生まれた国に帰りたいと思うもの——そんなメッセージが感じられた。いい映画だった。
[オリジナル音声+日本語字幕]2022/12/12 U-NEXT