アラサーちゃん

レッド・スパローのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
3.3
祖国に命を捧げる鋼みたいな血の雀。

ロシアの女スパイが、アメリカの諜報員にハニートラップを仕掛けて祖国のモグラをあぶり出す話。

ロシアに残した母と自分が安心して暮らすため、祖国の命令に背きたくない女。
これまでの恩義のためにモグラの正体だけは明かしたくない男。
ふたりの間には愛が芽生え、ロシアの圧力、アメリカの選択、それぞれの真意、真のモグラの狙い、それらがしだいに複雑に絡み合っていく。

信じるか、信じないか、騙すか、騙されるか、裏切るか、裏切られるか、そんな緊張感のなかで、ジェニファー・ローレンスの前に並べられたいくつもの結末のうち、彼女が選んだまさかの選択肢にあっと言わせられる。

二時間半って長いなーって思ったけど、スパイ編は後半で、前半にバレリーナ挫折編、訓練学校スパルタ編がご丁寧に盛り込まれていて、女スパイがなぜ自分のすべてを捨ててまで娼婦のようなスパイとなったのかがよくわかる。
スパイものは面白いけど置いてきぼりにされるストーリーが多いから、長いのはつらいけど、丁寧に描かれるので分かりやすいし観やすい。前知識なくても理解できたのでその点は◎

ただ、ビックリするほど過激なシーンが多くて、性描写も、暴力描写も。そこだけは念頭に入れて観たほうがいいかも。

個人的には、ハラハラするスパイ編よりも、怪しい匂いがプンプンする訓練学校編がとても好き。
雪景色のなかに佇む洋館、その入り口に立ちはだかるシャーロット・ランプリング。この画だけでなんか成り立つもん。これだけで映画にしてほしいもん。
メインはスパイ編だから、仕方ないのだけど、あの美味しい要素たっぷりの訓練学校の中身がちょっと味気ない気がするな~
もっと逸脱してくれたら楽しかったのに。ランプリングも機械的だけどどこか人間味が残る絶妙な役で好きでした。

余談だけど、ランプリングは昔「#愛の嵐」 でヌードの奴隷役をやっていたから、なんだか関連付けて観てしまう自分がいました。

観ていてよぎったのは「裏切りのサーカス」や「女神の見えざる手」 などですかね。
意外とわたしジェニファー・ローレンスの映画観てなくて、動くローレンスがあまりにも美しかったのびっくり。ほんとに美しかった、表情も、肢体も、何もかも。