Arisa

「もののけ姫」はこうして生まれた。のArisaのレビュー・感想・評価

4.5
手元にあったがずっと観ていなかった。


宮崎駿監督の作品の中で1番好きなのが
「もののけ姫」で、見る度に感情移入する人物(動物)が変わる。
それだけ、どの登場人物(動物)達も魅力的で深みがある。


素晴らしいスタッフと演者達によって
命を吹き込まれた「彼ら」の軌跡を辿るお話。


個人的にもののけ姫は宮崎駿監督の最高傑作だと私は思っていてきっとこの先も変わらないだろうと思います。


自然と人間、
善と悪だけでは言いきれない人間の業など
一見大人向けの作品と見せかけて
子供達に見せたいと言い切る監督の一切の妥協しない作品作りが垣間見えます。


約2年間追い続けたもののけ姫の製作ドキュメンタリー6時間。
プロの仕事とは一体どんなものか。

2秒しか映らないセル画への拘りや
糸井重里さんへの数十回のやり直しで決まったサブタイ「生きろ」


アフレコで命が宿る瞬間の感動は胸に迫るものがありました。


特に、私自身大ファンである美輪明宏さんのアシタカに怒るアフレコシーンは、宮崎駿監督もうんうん頷くほどの素晴らしいものでした。



⚠️1つだけネタバレしますが……




美輪明宏さんのとあるアフレコがしっくり来ず宮崎監督が実は……と


「乙事主とモロが昔恋仲だったんです」
と話す。


イノシシと山犬が??

と驚く美輪明宏さん。


そんな設定は誰も知らないが
ただの知り合いと昔の恋人へかける言葉の重みは違ってくる。


その繊細なセリフを即座に理解した美輪明宏さんが
見事に決めるのがまた素敵でした。




もののけ姫が大ヒットして
諸外国でも上映が決まった際のストーリー。

子供に良くないから陰惨なシーンをカットしてくれとある某国から要請があった。
が一切応じなかった監督。


「暴力というものは子供達が1番知っています」


大人達の都合で綺麗なものばかりを見せても子供達には通用しないこと
本気で作れば伝わることを知っていた
監督の覚悟が見えた瞬間。


子供騙しの作品じゃ、子供すら騙せない事を知っている人は少ない。


やはり本気で投げかけたものだから本気の応えがかえってくる。


プロの仕事をまざまざ見せつけられました。
Arisa

Arisa