あけび

君の名前で僕を呼んでのあけびのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.4
想像よりずっと17歳な青春映画でした。
なんとなく井上陽水の「少年時代」を思い出しました。

描かれているのはLGBTとしての悩みというより、若い頃に一度は抱く、自分は一体なんなんだ?みたいなティーンの等身大の悩み。


北イタリアの豊かな自然と眩しい日光の下で、軽やかなピアノの音楽と共に穏やかに進んでいく約2時間。
正直中盤まで日本人の私にはあまりに優雅で現実味を感じられなかったのですが、そこからのラストが良かった。
短く終わりがあるからこそ、きらきらしていて美しいひと夏の思い出。
噂の長回しも素晴らしかった。

全体に切なくてほろ苦い話ですが、見終えてじんわり胸が暖かくなるのは、
エリオの周囲の人がみんないい人だから。
お父さんもお母さんも絶妙な距離感で成長を見守っている感じが素敵。そして彼女のマルシア…あの年齢でいい子すぎる…

たくさんの愛を受けて、エリオはまた新しい季節へと歩んでいくのでしょうね。


追記
他の映画を色々見てやはりこの映画のファンタジー性がどうしても苦手で、この点数になってしまう理由です。
悩み苦しんではいるのだけれどそれさえも美しい。
こんなにおとぎ話のように描かなくても良いのになと思います。
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