14歳の少女クララは、機械をいじることが大好きで、ほかの子と遊んだりお洒落をしたりすることが不得意だった。
ある日、彼女の豊かな想像力と聡明さを認めてくれていた母親が亡くなる。
悲しみの中、彼女は“花の国”“雪の国”“お菓子の国”“第4の国”から成る秘密の王国に迷い込む。
チャイコフスキー作曲『くるみ割り人形』の物語を、壮大なスケールで実写映画化。
クラシックな『くるみ割り人形』からは超越していて、度肝を抜かれる作品でした。
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』をモチーフにしているが、世界観はむしろ『不思議の国のアリス』に近いか。
『くるみ割り人形』そのものを知らなくても、全く問題はありません。
原作とは異なる物語だったけど、エンターテイメント作品として、ちゃんと再構築されてたと思う。
キラッキラのピッカピカのふわっふわ。
なんと言ってもスペクタクル。
映像は、どこまでも美しく、豪快絢爛。
明らかにセットと分かる箱庭のような美術もこの世界ならでは。
豪奢なオーケストレーションと、マニアでもなければちょっと普段はお目にかかれないバレエも、映画の世界観を邪魔しない塩梅で華を添えます。
子どもの時に見てたら傾倒してたと思います。
しかし、ストーリーは深みもなく単純。
もう少しひねりとかあればもっと良かったんだろうけど。
というか疑問点が多々あります。
亡くなった母親は家族にとってどんな存在だったのか、なぜクララが主人公なのか、なぜオルゴールなのか、なぜ叔父は鍵をあんなふうに渡したのか、何も分からない。
また、「花の国」「雪の国」「お菓子の国」の描写が少なく、世界的に有名な指揮者や演奏家、ダンサーを使ってはいるものの出演シーンも中途半端で残念です。
あと、主人公の性格がちょっと自己チューで鼻についた。
母親を亡くして一家全員が悲しいのに、お父さんに凄く反抗してやたらお父さんの事を非難して、家族全員の雰囲気を悪くする。
お父さんも家族も悲しいのに家族に対して思いやりがゼロに感じてしまった。
とはいえ、材料を生かしきれてない部分は確かにありましたが、大人のためのクリスマスの絵本という雰囲気は好きかな。
『インターステラ』で愛らしい娘役を演じた美少女マッケンジー・フォイの成長が見られるのは嬉しいが、見せ場はキーラ・ナイトレイが持っていく。
個人的にキーラ・ナイトレイは新境地を開拓したと思う。
鼠先輩の活躍に、ヘレン・ミレン、モーガン・フリーマンの存在感も光っていた。
そういえば伏線がたくさん残ってるけど、続編作るのかな?