フライ

レザボア・ドッグスのフライのレビュー・感想・評価

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)
4.1
タランティーノの初期作品でありながらも、数ある彼の名作の中で本作が最高傑作だと豪語する人がいるくらい素晴らしい作品!故に本作に凝縮されたセンスの塊の様な内容、演出は、その後のタランティーノ作品の中にも多く感じるだけに、見逃せない名作。

レストランで食事を楽しむ黒ネクタイとスーツの6人と、2人のラフな格好の男、計8人が、クエンティン・タランティーノが演じるブラウンを中心に、聞くに絶えないゲスな話で盛り上がっていた。食事も終わり、ローレンス・ティアニーが演じるまとめ役の年配男性ジョーが全員の会計をしている間、ウエイトレスへのチップを1ドルづつ全員に出すよう命令する。しかしスティーヴ・ブシェミが演じるピンクがチップを払わないとゴネタ事で周囲から批判されるが、ジョーの一言で支払い店を後に。
ジョージ・ベイカーのLittle Green Bagの音楽を背景に、粋でクールに風を切って歩く何か強い意志を持った8人の男達。
ジョーを筆頭にクリス・ペンが演じる息子エディが、6人の仲間を集め、色を使ったニックネームで呼び合いながら宝石強盗を目論んだのだが、警察の待ち伏せでブルーとブラウンは死亡。何とか逃げ切れた4人は、集合場所の倉庫でジョーとも進行の深いハーヴェイ・カイテルが演じるホワイトと、腹部を撃たれ重症のティム・ロスが演じるオレンジ、いち早く裏切り者がいる事を指摘した、したたかなピンク、刑務所を出所したばかりのマイケル・マドセンが、演じるブロンド達と、ボスのジョーやその息子エディが、それぞれ色々な背景や思惑、事情で疑心暗鬼に捕われるのだが….

クエンティン・タランティーノ監督が低予算で製作した初期作品として知られる傑作だが、その後製作される名作にも感じる面白さを本作が元になっているとも感じられるだけに、タランティーノ作品を語る上でも絶対外せない映画。
内容の殆どが会話劇中心だが、その中で展開される暴力シーンと、終始感じる緊張感は圧巻で、時折挟むユーモアが作品の世界観をより濃くしていて一層面白さを感じた。個性の強いキャストも最高でより楽しめたし、なんと言っても予想外でシュールなラストは印象に残り、30年近く経った今でも全く色褪せない面白さを感じる作品。
本作の影響は凄まじく、バラエティーや学生映画、CMなどでもLittle Green Bagの音楽をかけて歩くシーンは、カッコ良くてクールなシーンの代名詞として使われたくらいだし、本作知らなくてもLittle Green Bagの音楽を知っている人が多いのは、間違いなく本作がきっかけなだけに影響力の凄さが分かる。

タランティーノ作品好きな人は、殆ど観ていると思うが、もしもまだ観てないなら今後のタランティーノ作品を楽しむ為の一助にもなると思える作品なだけに、興味が有る若しくは好きな人は是非。
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