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ローガン・ラッキーのoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)
2.8
【ネタバレなし】世間から外れた男たちの繰り広げるクライムサスペンス。ちょっと視点をズラした変化球な作り方でした。(サスペンス…までいってない雰囲気も無きにしも非ずですが)

主軸の強奪行為そのものよりも、登場人物たちの会話や家族関係の描写が同列並行して展開していきます。
だからと言ってメインの犯罪計画の方が単純かというとそうでもなく、逆に結構凝っていたり、人物の視点が変わると別のトリックが出現するという複雑な展開で、表面上進行しているユルい会話でもなぜか気が抜けず常に「この人たちは今(これから)何をしようとしているんだろう?」という、読めない感じがラストまで続きます。

その上登場人物たちが多く複雑で、説明もあんまりしない。
トリックの複雑さと人間関係の複雑さが絡み合い、終盤に謎が解けても爽快感やカタルシスが少な目…いい意味で新感覚?別な言い方をすれば中途半端さを感じました。

おそらく、その瞬間瞬間を笑って楽しむ観方が正解なんでしょうけれど、ちょっと笑いが弱かったような…英語圏の人なら笑えるのかなぁ?
もしかするとアメリカ人にしか分からない、コアなネタとか雰囲気もあったんじゃないかなぁ〜と、なんとなく感じました。

本筋の仕掛けが複雑で凝っていたので、そちらをもっと緊迫感を持ってキッチリ描けば、相乗効果的に笑いの方も生きたようにも思いました。
どちらにせよ、もっと振り切って欲しかったかなぁ…。

新人脚本家レベッカ・ブラントの処女脚本を読んだスティーヴン・ソダーバーグが、誰にも渡したくないという理由で4年前の引退宣言を撤回し撮った今作。
女性脚本家だからなのか?(他にもいっぱいいるとは思いますが)、男性キャラはどこか皆ヌけているというか総じてバカっぽく、逆に女性はキレ者だったり抜け目が無い雰囲気の人ばかり。
なんだか、その差が極端な感じがしました。
それが面白みの部分でもあるんですが…。

ボンドとは真逆のジョー・バンクを演じたダニエル・クレイグ、『パターソン』で詩的な表情をみせたアダム・ドライバーの別種の無口ぶりなど、役者としての上手さを感じました。
ヒラリー・スワンクとか、キャサリン・ウォーターストンとか、贅沢な使い方してました。

ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)の娘の可愛さと、父と娘の仲むつまじさの描写が素晴らしく、レベッカ・ブラントってもしかするとファザコンなのかな?…と、ちょっと思ってしまいました(笑)

冷蔵庫に貼られた”銀行強盗の10か条”の内容(意味)の重複している感じ(コレも笑いのひとつなんだろうか?)が、なんだかこの映画を象徴していたような気もしました…。
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