TAK44マグナム

Black Past(原題)のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

Black Past(原題)(1989年製作の映画)
4.0
「死霊のはらわた」ミーツ「ハチェット」みたいな?


ドイツが産んだゴアマスターと言えばオラフ・イッテンバッハ!
そんな彼の処女長編にして、めったくそに人体破壊しまくるスーパースプラッターです!

字幕もへったくれもないのを観ましたが、全然OK。
どのみち腕によりをかけたゴア描写をやりたいだけなので、最初っからそこしか見所なんてありゃしません。

それにしてもイッテンバッハ先生はデビュー作から良い感じに狂っていて最高ですなぁ!
いや、むしろ最初だから気合いがはいっていたのか、それはもう無邪気に首を引っこ抜いたり、はらわたをひきずり出したり、得意技のグチャグチャのデロデロを存分に魅せてくれますよ!
開始早々、飼い犬に餌をあげてる花凛な少女の顔面に斧を突き立てる鬼畜ぶりを発揮!
でも、そんなものはまだまだ序の口。
人体を破壊することに鬼のような執着心をもつイッテンバッハ先生による、超弩級スーパーグロリンチョの嵐が吹き荒れ、あんまりな内容に度肝を抜かれるのです!


眉毛が微妙につながっているイッテンバッハ先生自ら演じる主人公のトミーは、チュッチュするカノジョもいる、なかなかにリア充な青少年。
ある日、彼は自宅の物入れで鎖に巻かれた箱を発見します。
止せばいいのに箱を開けるトミー。中身は一枚の鏡でした。
トミーは鏡を部屋に飾ります。
しかし、その鏡こそ呪われた死霊の鏡だったのDEATH!!
鏡がトミーに恐ろしい幻想を見せ続けると、やがて彼の身に変化がおとずれ・・・・・?


山小屋で死者の書の見つけてゾンビにされちゃう「死霊のはらわた」みたいに、よく分からない鏡を飾ってしまったばかりに誰彼構わずに殺したくなる「殺人ズル剥けマン」にされてしまう男を若きイッテンバッハ先生が大熱演!
登場するなりオールヌードで、気合いの入り方が違います!
イッテンバッハ先生のプリケツがモロ見えなのは誰得ですが、きっとこれもサービスの一環なのでしょう。どうせなら、割と美人だったママさんのヌードを拝みたかったものですが・・・

予算は70万円ほど。
山小屋にロケしに行くお金よりも特殊メイクにお金をかけるべく、どのロケーションもたぶん近所で撮影、尺稼ぎみたいな買い物シーンはゲリラ撮影だと思われます。
しかし内輪向けの映像作品として撮ったのに、ちゃんと授業やデートの場面を主人公の日常としておさえてある辺り、映画としての体裁を最低限整えているのは感心しますね。
ただ、演技はみなさん絶望的。
特に友人フランキー役の人は結構な重要人物なのにヤバい(汗)
せっかくのクライマックスの盛り上げに一役買えてません!
呪われちゃうカノジョ役の女子はまぁまぁ、ウガーッ!な演技は良かったですが・・・。

だがしかし!
そんなことはイッテンバッハ先生の作品には付き物だし、どうでも良いことなのです。
重要なのは、いかにして人体が破壊され、血がドバドバ出て、それをどのように魅せるか?
それこそがイッテンバッハ印に相応しいかどうかの最重要ポイントなのであります!
マグナムとしてはそれほどイッテンバッハ作品を観てはいませんが、意外なことに、観た中ではこの稚拙なデビュー作が一番面白かったです。
勿論、演出やら何やらは商業ベースに乗った以降の作品の方が格段に優れているのですが、若気の至りと申しますか、ゴアゴアな部分の勢いが破茶滅茶で気に入りました。
とりあえず切ってみよう!とか、とりあえず剥いてみよう!と、ちゃんと考えているのかどうかあやふやで、どこか本当に狂ってるんじゃないの、あなた?と思えるのが素晴らしいじゃありませんか!

終盤の家族皆殺しなんて殺戮の極致でありまして、作り物バレバレな顔面をチェーンソーで裂いて、そこに指突っ込んでオモチャにするとか、狂気の沙汰としか思えないグロリズムにゲロリンチョですよ!

また、それ以上に凄まじくグッジョブ!なのが中盤の幻想シーンと、イッテンバッハ先生渾身のズル剥けマン化するシーン!
鏡の力によって、トミーは地獄の手術台に縛りつけられる幻想を見せられます。
周囲には、既に手術されてしまったと思われる血まみれ、はらわたまみれのグロ人間たちが呻いていて、そこにブラッディーな看護師さんが登場!
看護師さんは、トミーのチンコに釘を打ち込みます!
そんでもって切断!
トミー大絶叫!
ヒィィィィィ!!男にとって最悪の地獄絵図!!
その後も腹を掻っ捌かれて、食肉用の豚みたいに吊るされるトミー!
白石晃士の「グロテスク」は、これに影響受けたのかな?なんて思ったり。

トミーがズル剥けマンになる場面も凶悪にファンタスティックでして、その生々しさやグロさは製作年度や製作体制を鑑みるに非常に高いレベルにたってしており、さすがはイッテンバッハ先生!とヤンヤヤンヤと胴上げしたい気分ですよ!
しないけど!
でも本当、グチャドロを撮らせたら一級ですね。
イッテンバッハ先生、寝ても覚めてもこんなんばかり考えているんだろうなぁ。
そんな風に思うと、あまり友達にはなりたくありませんが、ご本人は人脈には事欠かない様子が作品を観ると伺えます。
実に楽しそうに仲間たちとゲボゲボなホラーを撮り、ついにはそれが一生の仕事になったわけですから、素直に見習うべき人生の師といっても過言ではないでしょう。

あ〜、でも、「ちょっとあの内臓デロデロの腹の中に頭を突っ込んでみて。面白いぞ、きっと!」などと満面の笑みで演出してそうだから、やっぱり友達になれなくていいや!
グチョゲロドボドボは映画の中だけでじゅうぶんです!


某動画サイトにて