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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版の655321のレビュー・感想・評価

3.7
私はかなりのド近眼です。
視力が良い方にはよくわからないと思いますが、
近眼の人間は暗闇だと余計に見えなくなります。
色を奪われ、輪郭がボヤけるなか、見極めるのは困難です。

主人公の少年・小四も近眼。
父親は「眼鏡を買ってやらなきゃなあ」と呟く。

しかし、いくら近眼といえど光は感知できます。

小四もこの暗い世界(まさにノワール映画!)のなかで、盗んだ懐中電灯を頼りに日々を生きていきます。照らされた小さな円形を頼りに。

そんな中、出会うヒロインの名は小明。

運命の人。

「こんな衣装はイヤ!」
「モノクロ映画なのに色を気にしてどうなる!」

と喧嘩する映画監督と女優を尻目に、
小四はモノクロの世界で“小さな明かり”を頼りに生きていく…。

暗くも瑞々しい傑作映画。
わりと理屈で読み解けるトコも、個人的には好き。


【近眼】
①遠くがはっきり見えないこと。また、その目。
② (比喩的に) 物事の先を見通すことのできない目。また、その人。あるいは、狭い見方しかできないこと。また、その人。
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