けーな

ムーンライトのけーなのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.7
2年前のアカデミー賞授賞式での「ラ・ラ・ランド」との一件が記憶に新しい。その時から気になりながらも、勝手に苦手な気がして、なかなか観ずにいた。実際に観てみると、苦手な雰囲気とは異なっていた。

苦手だろうと思い込んでいたのは、主人公がイジメを受ける話だと、耳にして、陰惨な雰囲気が強くあると想像していたからだ。

しかし、今作は、色の使い方が綺麗だったり、主人公の気持ちを切なく表現していて、物哀しく、また、美しいとも言える映画だった。

今まで、同性愛を描いた映画は、わりと苦手だったのだけれども、今作は、ジェンダーに関係なく、人を好きになって、やるせなくなる気持ちを表現していて、心に響いてきた。

シャロンを演じた3人が、とても巧かったと思う。また、母親役のナオミ・ハリスも見事だった。

そして、アカデミー助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリが、やっぱり巧い。順序が逆になったが、先月、2回目のアカデミー助演男優賞を受賞した「グリーン・ブック」を観てから、こちらを観ると、高貴なドクター・シャーリーとは打って変わって、底辺層の麻薬ディーラーを演じているものだから、演技の幅の広さに驚いた。しかし、麻薬ディーラーと言っても、とってもいい人なので、ホッとした。映画の3分の1しか出演していないのに、オスカーを獲るなんて、すごいなと痛切に思った。

今作を上映してすぐに観ていたら、良さを理解できなかったかもしれない。マハーシャラ・アリのお陰で、「グリーン・ブック」を観た後なので、今作の評価が上がった気がする。
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