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スウィート17モンスターのpanpieのレビュー・感想・評価

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)
4.5
「タレンタイム」とどちらを観るか相当迷ってこっちを観る事に決めました。
フィルマで皆さん高評価だった為どうしても観たかった!



自分の唯一の理解者だった大好きだったお父さんが死んじゃってそこからネイディーンの時間は止まったまま。
お父さんの死を克服出来ないのにお母さんもお兄ちゃんも悲しみを乗り越えて今を行きている様に見えて無性に腹が立つ。
ネイディーンの理解者は親友のクリスタだけ。
彼女が話を聞いてくれて側にいて笑っていてくれればそれで良かったのに。
なのになんで?
なんでよりによって兄貴なの?
クリスタ、あんたも他のやつと同じなの?


ネイディーンちゃん。
うーん、そのひねくれ方に17才だった頃の自分を重ねて観ちゃったよ。
ニコニコ笑ってるだけで十分かわいいのに若い時ってなかなか素直に笑えないんだよね。
いつも何にでもイライラしていて突っかかってしまう。
でもそんな理由がワガママだって事も分かっている。
分かっているけどイライラする!
分かる分かる。
イライラしてる所に私も立派な眉毛だったせいでよく「怒ってるの?」って言われたっけ。
うるさーい!
でもこんな気持ち懐かしいなぁ。(*´꒳`*)

ネイディーンの兄はイケメンで爽やかなスポーツマンタイプで学校でも人気者だ。
ネイディーンは自分が素直になれない事を棚に上げてそんな兄に嫉妬しながら今日もクリスタにブルーナー先生に悪態をつく。

でもクリスタが兄貴と!
そして私と一緒にいた時とは別人の社交性に溢れたクリスタを見て激しく落ち込み兄貴と同様に嫉妬し二人は喧嘩をしてしまう。
あんなに私を理解してくれてると思っていたのに!
クリスタなんて!
もういい!
私を敵に回すなんて!
ネイディーンは今日もブルーナー先生に〝自殺宣言〟をする。

ウディ・ハレルソン演じるブルーナー先生が素敵だ。
機関銃の様に言葉を放つネイディーンを受け止めつつ返す言葉が本当に大人で素敵だ。
親は自分の子供には冷静に話せない。
大人なのに同じ土俵で負けずに言い返してしまう。
そんな自分を思い出してブルーナー先生の大人な対応に頭が下がった。
でも先生も自分の子供とはきっとバトルするんでしょうね。
今はバブちゃんでかわいいけどね。
なんて言葉が出そうになる。
親となった今はネイディーンの気持ちもママの気持ちも痛いほどよく分かる。

ママ役のキーラ・セジウィックもいい。
ドラマの「クローザー」も昔観ていたしあの頃と殆ど変わっていなくてびっくり!
5年前どころじゃないはず!
流石女優!
ラスト辺りのママとネイディーンのメールのやり取りが凄くいい。
ずっとメールにも電話にも無視を決め込んでいたネイディーンからのメールの一言に一喜一憂し次の言葉を打っては消し打っては消しして結局OKとだけ打つ。
お説教になりがちだけどこんな時は電話よりメールの方がいいなと思った。
素敵なシーン。
見習わなくっちゃ。

ネイディーンは上級生に恋をしている。
兄とは違ったタイプのイケメンだ。
でも高校時代に好きになりがちなタイプで話した事もないし何が好きなのかも分からず単に容姿だけで好きって言うやつ。笑
恋に恋してるみたいな。
若い時あるあるだね。
そこで思わぬ騒動が起きるけどそのお陰でネイディーンは今迄トゲトゲしていた自分に素直に向き直って反省して兄に謝る。
このシーンは良かったな。
ジーンと来た。

次の日からのネイディーンは別人だった!
兄と一緒にいたクリスタにも笑顔で話しかけるし彼女の決意が表れていて彼女は終始キュートな笑顔を絶やさない。
私の顔からも笑顔が止まらなかった。
憧れの彼よりも隣でいつも見守ってくれていた彼にやっと気付いた。
恋って素敵!
二人を応援したい。

そうだ!
笑っていれば良かったんだ!
それだけでいいんだ。
上手い事言えなくていい。
笑っていればいいんだよ。
私がそれに気付いたのはネイディーンよりずっと後だったけどね。
ラストの彼女の笑顔がとても素敵だった。

帰りはあたたかい気持ちに包まれて気持ち悪いけどきっとニヤニヤしながら帰ったと思う。
ああ、なんか久しぶりだ!
私の心の奥底に若者映画が沁みてくるなんて!
本当に観て良かった!
17歳だった自分に会えるなんて!
国は違えど思春期は万国共通なんだな。
皆さんのレビューの高評価の意味が分かった。
監督さんこれが初監督作品だったんですね!
凄く良かった!
ありがとう!
素直に笑顔でこの言葉を送りたい作品に出逢えた事に感謝。
久々にビリー・ジョエル聴いてみようかな♪
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