日比野くらし

そうして私たちはプールに金魚を、の日比野くらしのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

とんでもないものを観てしまった。ただただ圧倒された。そんなことしていいの?そんなカットありなの?そのライティングはどうやるの?その撮影は?録音は?編集は?整音は?なに?いいの?なんで?ずるくない?だって私もそういうものが撮りたい。教科書のような典型的なものに縛られて、それに挑戦することもこわくて、「こうしたらおもしろいかも」を作品にできない自分に喝を入れられたような気がしました。
パンフレットで監督が「エモさ」を意識して作ったとおっしゃっていたのだけど、それってずるくないですか?「エモい」ってとても現代的な言葉だし 丁寧に説明すると「感慨深い」「趣のある」というような意味だと思うのだけど 古典でいう「いとをかし」でしょう?日本人が遺伝子単位で継承している感情の流れなわけだから、心を打たれないわけがないじゃない、、、。
狙い撃ちでした。圧巻。幼い限られた時期の女の子の美しさや儚さなんかを描くことに重きを置いている映画が「少女性が強い」と言われがちだけど、私はこれこそが少女性の強い映画だと思います。不安で、退屈で、みんな死ねって思いながら、毎日スクールカーストの中でなんとか生きて、友だちと笑って、って、あれ?この子友だちでいいんだよね?って 制服が日常だったあの頃 それを振り返ったときに感じるこの「エモさ」を この映画における少女性と定義したい。それってあり?って。中高生だった頃、そういう型破りなことや常識はずれなこと、たくさんやっていたなぁとぼんやり思い出します。振り返ってみれば、制服を着ていた頃は無敵だったし、この映画も無敵。うるせえな、これが『そうして私たちはプールに金魚を、』なんだよ って。
映像表現の斬新さがそれを助長させていました。脚本だけではこのカット割りも音も編集もなにも想像つかなかったのではないかしら。この作品が映像であることがただただ、嬉しいです。
もっと 頑張りたい