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そうして私たちはプールに金魚を、のマーチのレビュー・感想・評価

3.7
今回レビューの口調がいつもと少し違いますが、そんな気分だっただけなので、軽く受け流して下さい(・ω・) 笑


【下半期鑑賞映画寸評:2017】
《青春ネオン 〜未来に抱かれろ!〜》

あなたは「2012年、埼玉県狭山市のとある学校でプールに約400匹の金魚が放流された事件」を覚えているだろうか?

「金魚と一緒に泳いだらキレイだと思って…」
こう供述したのが大量の金魚をプールに放った犯人である4人の女子中学生。

一見ほのぼのする様な内容の事件だし、言って仕舞えばマジでどうでもいいニュース。当然この事件を知らない人も大勢いるだろうし、記憶に薄っすらとしか残っていない人の方が大半だろう。しかし、何故か自分はこの短編映画の存在を知った時にこの事件のことを直ぐに思い出した。それだけ自分の中でこびりついていた印象的なニュースだったのだ。

そして今作では、その供述の裏に隠された真実を解き明かすと共に、プールに大量の金魚が放流されるまでを思春期独特の激しさとスピード感で毒々しく描いている。

まずこの事件の“裏を読み解こう”という着眼点が素晴らしいし、“短編”というフォーマットを活かした大暴れとも言える激烈な描き方に驚かされた。

思春期特有の焦燥感や疾走感を必要以上のスピードでポップに描いているので飽きることは全く無いし、短い尺の中で視覚的に疲労を感じるほど楽しませてくれるから非常にインディペンデント的で面白い。

その“視覚的な楽しさ”というのは、普通の映画なら数回あればよい独特な撮り方やトリッキーな映し方を、今作はほぼ全編に渡って観ることが出来るというところである。
そのてんこ盛り過激描写が次第に癖になってきて、最終的には丁度お腹いっぱいになったところで終わってくれるという潔さに鑑賞後、謎のカタルシスを感じる。笑

そんな中でも最も感銘を受けたのが、この映画の結論。天真爛漫で「VIVA 青春!」なくだらない毎日を必死に足掻き、楽しみ、謳歌する4人がどうしてあんな騒動を起こしたのか?
彼女たち4人の時間を眺めているうちに自然と誰もがその理由にたどり着く。
そしてその理由こそが青春が青春たる所以であり、虚無を脱しようと日々足掻く若者たちの真実であるのだ。

第四の壁を越え、偶に語りかけてくるその少女はあの頃の自分なのかもしれない。

差し詰めこの映画を称するなら
《青春ネオン》
というのが1番しっくりくる気がする。

兎にも角にも、そんな映画。


【p.s.】
下半期に突入しましたが、上半期鑑賞映画のレビューをまだ消化しきれていないため、下半期鑑賞映画も一部は寸評で投稿していきます。

いつもとは違い、極々短いレビューで投稿しています。暇があれば付け加える予定です。

従って、いつもの【映画情報】等もカットさせていただきます。

*詳しくは2017年7月3日に投稿している《『ローン・サバイバー』評》内の【p.s.】をご参照下さい。
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