まっどまっくすこーじ

レミニセンティアのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

レミニセンティア(2016年製作の映画)
4.1
ロシアで撮った日本のSF映画!!!(≧∇≦)

これは観るしかない!! ということで横浜シネマリンでの最終日に駆け込み鑑賞。
でも上映後に監督さん達のトークショーがあってこの日で良かった♪

さて本作「レミニセンティア」。
タイトルは≪追憶≫を意味するそうです。


記憶を巡るテーマの作品。

主人公は他人の記憶を消すことができる能力を持っている小説家のミハエル。

噂を聞いた人たちがミハエルを訪れる。
「この思い出したくない記憶を消してほしい…」 と…

ミハエルはお金をもらう代わりに、その人たちの消したい記憶を基にして小説を書いているのだ。

ミハエルはミラーニャという一人娘と暮らしている。
ミラーニャを溺愛しているミハエルだが、ある日突然、ミラーニャとの思い出が部分的に欠落していることに気付く。

うろたえるミハエルは教会に行って神にすがろうとする。
するとそこでマリアという女性に出会うのだった。

マリアは見たことを全て記憶してしまい、忘れることが出来ない。
さらにマリアには他人の記憶を呼び起こす能力があった。

それを知ったミハエルはマリアに持ちかける。
「君の記憶を消してあげるから、代わりに娘との思い出を取り戻して欲しい」…

了承したマリアによって≪追憶≫の旅に出たミハエルだったが、そこで知る真実とは……


ミステリアスな展開と濃厚な静けさを醸す映像が観る者の大脳皮質を刺激する作品です。

冒頭にSF映画と書きましたが、ロシアや東欧ではファンタジーもSFの範疇に含まれる感覚のようです。
なので本作は≪サイエンス・ファンタジー≫という意味でのSF作品と思って頂ければよろしいのではないかと思います。

ロシアのヤロスラブリという街でオールロケされオールロシア語という、見た目は完全にロシア映画なのですが、実は出資とスタッフが日本のため、本作は邦画となります。

このヤロスラブリは西側諸国ではお目にかかれないようなデザインの建築物が多くて、世界初の女性宇宙飛行士であるテレシコワさんの記念館など、面白い建物を見ることができます。

役者もミラーニャを除いて、全てヤロスラブリ劇場に所属する方々だそうですが、皆さん独特の雰囲気があって演技レベルも高い。

さて本作はロシアに行って撮った訳ですが、なんとスタッフは僅か3名という自主制作映画です!!!(;゜∇゜)

監督と脚本はタルコフスキーを敬愛し、ソクーロフの「太陽」でメイキング監督を務めた井上雅貴さん。
本作が自主制作で、しかも初の長編作品ということが俄には信じ難いくらい完成度は高い。

勿論、予算などの制約を感じてしまう部分もあるとは思いますが、スクリーンに映る絵が持つ力と雰囲気は商業映画と遜色ないレベルで観客に迫ってきます。

ヤロスラブリの街も観光目線ではない、住人の生活の匂いがする映像にしております。
こういうところはロシアに長期滞在している井上監督だからこそなのでしょう。

プロデューサーは監督の奥様である井上イリーナさん。
前述の「太陽」撮影時に通訳としてスタッフ参加されていたということで、その時に井上監督と…?(*^^*)

そして唯一人、日本からのキャストはミラーニャ役の井上美麗奈ちゃん。
そうです、監督のお嬢様です(*^^*)
日本とロシアのダブルちゃんなので本作でもロシアの少女として違和感がありません。

先ほどはスタッフが3名と書きましたが、監督以外のお二人のうち一人は監督の弟さんという、まさに家内制生産映画ですが、本作はハリウッドにおいて「ロサンゼルス シネマフェスティバル オブ ハリウッド 2016」の長編作品賞・監督賞・主演男優賞を授賞しておりますし、国内においても「第二回 新人監督映画祭」の長編作品賞を授賞しております!!

まあ、好みもあると思いますし、決して万人受けする作品ではないかも知れませんが、もっと恵まれた制作環境で撮れるようになれば、今までの邦画とは違うタイプの作品が作れる大きな可能性を秘めた監督さんだと感じました。


上映後に監督さんと奥様とお嬢様が登壇して、本作についてのお話をされたり、客席からの質問に答えたりされてたのですが、22時くらいの時間でもニコニコとしながら、しっかりした姿勢のまま立っていた美麗奈ちゃん(今年で9歳)にプロ意識を見た気がしました(〃∇〃)

そのあと、パンフレットに美麗奈ちゃんと井上監督にサインを頂きながら、ちょっと監督さんとお話させて頂きました。

まっどこーじ : 「この作品はカルトですよねぇ~!!」

井上監督 : 「そ、そうですか?(^^;)))」

まっどこーじ : 「監督さんはカルト好きなんですか~?(≧∇≦)」

井上監督 : 「え!? い、いやそういうわけでも…(;´д`)」

まっどこーじ : 「でもカルトを意識してますよねぇ~♪」

井上監督 : 「で、でもエンターテインメント作品として撮ったんですよ…(;^_^A
あ…いや、やっぱりちょっとカルトっぽいところもあるかも…(^o^;)」

※だいぶデフォルメしています(^^ゞ

井上監督様、失礼なことばかり言ってしまって、たいへん申し訳ありませんでした~!!!m(__)m


このレビューを上げた時点で、関東地方では上映が終了しておりますが、これから大阪・名古屋・豊岡・下関・松本と順々に上映があるということですので、全編ロシアで撮った邦画という作品をスクリーンで鑑賞できる貴重なチャンスに是非!!!(*´∇`*)

私もまた観たいのでDVD化超希望です~!!(≧∇≦)
そして井上監督の次回作に超期待です~!!!(*^^*)