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残像のaboのネタバレレビュー・内容・結末

残像(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ナチスに翻弄され、その大戦が終わってやれやれと思いきや、今度はスターリンに引っ掻き回されるという不遇なポーランドの時代に遭遇した、ある芸術家の物語。
自らの信念を貫いた結果、彼は大学の職を追われ、芸術家としての活動の場を追われ、飢えて野垂れ死ぬ、そんな真綿で首を絞めるような凋落の姿を静かに・淡々と描いた名作です。

反体制を描いた作品にありがちな、ヒロイックさも、ストイックさもないという意味で、一線を画したこの作品。アンジェイ・ワイダ最晩年のものですが、抵抗三部作の時代から一貫して、戦争は人と歴史を蝕む現実でしかないと、最期まで訴え続けてきたそのパワーに敬意を評します。
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