TaichiShiraishi

タリーと私の秘密の時間のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

既に子供がいる家庭に新生児が産まれた話がやたらと多い今夏。

父親目線から見たかったらインクレディブルファミリー、
お兄ちゃん目線から見たかったら未来のミライ、
お母さん目線から見たかったら本作タリーと私の秘密の時間がおススメでございます。

とにかくシャーリーズセロンは本当にすごい。アトミックブロンドとどっちが先の撮影だったかわからないけど、本当に同一人物か?
ただ太るだけじゃなく、くたびれ具合、肌荒れ、張った乳など、特殊メイクの力もあるけどここまで疲れきった中年三児の母をリアリティ持って演じきるのは尋常じゃない。
しかも後半タリーと出会ってからは、いつもの超綺麗なシャーリーズじゃないけど、ちょっとハリを取り戻す中年女の綺麗さを表現してる演じ分けまで完璧だった。本当に現代最高の女優だな。

ライトマン監督も流石の手腕で、ミアが生まれてからの怒涛の3週間を短いカッティングで的確に見せていったり、細かい自然なセリフのやりとりで登場人物の関係性や背景を浮かび上がらせたり、街に繰り出すシーンでメドレー的にマーロの青春時代の思い出であろうシンディーローパーの名曲を流しまくったりと演出冴えてた。

セリフも
「1日が短い惑星に住んでるからよ」とか「あなたのその平凡さがいい母親の証拠」とかいいパンチラインがあって飽きない。そして教訓に富んでたね。

テーマ的には昔の自分と変わってしまったことを受け入れる話だけど、受け入れるために昔の自分が助けに来てくれるっていうのは新しいな。
旦那との性生活にまで干渉してきたあたりから、あれ?これってって思い始めたけど、タリーが主人公の旧姓ってなるまでは分からなかった。

人魚の夢は変身願望の現れだったのかも。結果的には新しい人生に立ち向かうきっかけの存在として出てくるけど。

主人公が知的障害の息子のひきつけを防ぐためにブラッシングをしているシーンから始まった映画が、
ラストには息子からブラッシングをしなくていいと言われ、それまで理解ある風に見えて何も手伝ってこなかった旦那がイヤホンをシェアしながら料理を一緒に作り始めて終わる。
ライトマン監督作品は主人公たちがふりだしに戻るけどちょっとだけ成長する終わり方が多い。今回はいつも以上に優しい終わり方でより好みでした。
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