KUBO

ブルーム・オブ・イエスタディのKUBOのレビュー・感想・評価

3.6
【ある程度ネタバレを含みます】

第29回東京国際映画祭「東京グランプリ」受賞作品。

ドイツのナチ犯罪の研究所で働く男トトの元に、フランスから実習生の女性がやってくる。

研究所はトップの教授が亡くなったばかりで、「アウシュビッツ会議」という大きなイベントを控えており、大変な時期だったのだが、

この実習生の女ザジがハンパなかった!


私は厚かましい登場人物が引っ掻き回すお話嫌い! だからイライラしてもうたいへん!

犬を車から放り投げるなんて、この女キチガイだ。

私はこんな女には絶対教えない!


またトトにも抱える問題がいっぱい。

「(誰かよその男と)SEXもするのか?」とトト。それでも「愛してる」と返す妻。この夫婦はどうなっているんだ? 浮気公認?

私生活でも追い詰められているトトを、さらにザジが振り回す。


このザジって何なんだ(?)ってイライラしながら見ていると「実はザジの◯◯は…」っていう驚くべき事実が!


ナチの家系を断つため断種する? そんなことがあるのか⁉︎

「加害者の子と被害者の子の理論」
犠牲者の子供の多くが加害者の子供と寝て、無意識に超自我と和解する。そんなことがあるのか?


ホロコースト関係の映画はたくさん見たし、ドイツやポーランドのことはある程度勉強したつもりだが、本作が扱うリガ(ラトビア)での大虐殺の話は知らなかった。(ただ本作内でも詳しく語られる訳ではないので、関心を持ったから後から調べたのではあるけれど)


また、祖父がナチのSSで、戦後も家族が皆ネオナチだったトトは、服役中の兄から「密告者」と蔑まれる。17歳で抜け、その贖罪のためにナチ犯罪の研究に身を捧げるトトの人生は、ある意味『SKIN』のその後みたいな壮絶な人生でもある。


作品は、トトとザジの過去の繋がりと2人の恋愛が大きなうねりとなって描かれる。

戦後まだ残る、加害者側家族と被害者側家族の心の闇。2人の恋はその闇を乗り越えられるのか?

作品のパワーはあるし、とにかく引っかかる。そういう意味で作品としては成功なんだろうけど、ザジのキャラ嫌いだなぁ。



*昔、付き合ってた女の子を思い出した。情熱的な時はすごい燃え上がるけど、突然怒り出したりあまりにもエキセントリック。1年くらい振り回されたけど、結局続かなかった。この女、予言的なことを言う奴で、別れる時に「あなたは30代になったらモテるよ」って言ったけど、確かに当たった。トトもあれでよかったんじゃないかな。絶対続かない。
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