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星くず兄弟の新たな伝説の砂場のレビュー・感想・評価

星くず兄弟の新たな伝説(2016年製作の映画)
1.0
こりゃダメだ、、、まずはあらすじから

ーーーあらすじーーー
■Bar CAMERAのマスターのシンゴ(久保田しんご)、高校生の客からは化石のような扱い。もう一度スターになりたい!
DJをしているカン(高木完)を誘い美容整形のスタジオに行き、マシンに入ると若返っていた。月でならスターになれるかも、
野宮真貴の歌に乗って月へ向かう二人、天使の3人が見守っている。
■ウサコ(荒川ちか)、と社長アストロ南北(井上順)に押され芸能事務所アストロに無理矢理所属させられる二人、しかしショーパブでのステージはブーイングの嵐、黒服の老人(内田裕也)にロック魂を探せと言われる。
ベタール卑美子(夏木まり)とチェザーレ伊東(ISSAY)もロックの魂を探していた。
■二人は再度美容整形スタジオのマシンに入ると今度は女性になっていた。ギタリストのクリスト(浅野忠信)、女暴走族軍団との出会い。クリストの死、
■ウサギが餅をつく場所でロックの神に再会する、ロックの魂を授けてくれた、また姿を元に戻してくれた。
ロックの魂を手に入れたカンとシンゴはステージ客から盛大な拍手喝采
ところが、ベタール卑美子が現れ、アストロ南北も現れた。
実はアストロ南北とベタール卑美子は夫婦であり、ウサコは二人の娘だった。
夫婦の仲に嫉妬心を覚えたチェザーレ伊東はアストロ南北に向けて発砲、シンゴはアストロ南北を庇って被弾、命を落とす
その様子を見ていた3人の天使はシンゴを哀れみ、天使の力を失い地獄に落ちることを承知の上でシンゴの命を助けた。
■気が付くとシンゴは元の老いた姿に戻っており、いつも間にか東京の下町のバーに。人間になった天使も来店、夢オチかと思って目覚めたシンゴの前になぜかチェザーレ伊東が現れ、発砲、映画は幕を閉じる。
ところが、この映画の撮影現場を密着取材していた女性記者が、手塚監督に対してこんなラストでいいのかと詰め寄る。記者を監督にし新たにラストシーンを取り直す。
■物語はシンゴが撃たれた直後の月のステージに戻り、アストロ南北が若者に向かって夢を忘れちゃいけないと歌い上げた後にシンゴは息を吹き返す、その場の全員で歌う。
ーーーあらすじおわりーーー


🎥🎥🎥
前作から約30年、主役の二人も歳を重ねた。

前作でダメだった点、業界人の内輪ノリはいっそうひどくなっている。画面は流石に手塚もベテランの域になり技術も予算も増えたのでリッチになっている。それだけに見易いけども平凡な絵になってしまった。

一番気になったのは、”ロック魂”なるものを追い求めるテーマだ。前作レビューに書いたのだが近田春夫のメタ的音楽感を映画にするのは難しい。レコードで聞く場合はミュージシャンの意図がどうあれ”聞こえ”が全てでありそこに身を委ねるほかはない。
ただ映画だと映像やセリフの情報が多いので近田春夫の”意図”を探してしまうのだ。これが見てて疲れる。
この続編ではこれを解決するべく、”ロック魂”を追い求めるというベタな設定を持ってきた。メタからベタへの変更である。ただこのことによってこの映画近田春夫がやる意味ある??という疑問が出てしまう。
そもそもスターダストブラザーズは”ロック魂”を追い求めるタイプの音楽性ではないのだ。
エレポップと歌謡曲を合わせたようなサウンドだったのであり、”ロック魂”と言われても違和感しかない。

もちろん内田裕也vsはっぴいえんど構図で評論家が繰り広げた日本語ロック論争においては、近田春夫はどっちかと言えば内田裕也側だったのであり、原点はロケンロールな人である。
ただ、エレポップとか歌謡曲、ヒップホップなど多様な音楽をミクスチャーしてきた近田春夫のいう”ロック魂”は普通の”ロック魂”とは違っていると思う。
その三回転捻りみたいなものが”ロック魂”を追い求める物語では影に隠れてしまう。

冒頭スカイツリーが映る。ご存知の通りスカイツリーはテレビ放送のアンテナが設置されておりテレビ時代を象徴する建物だ。
手塚の意図はわからないが、2018年になってまでも昭和テレビ的業界人感覚が抜けないのか、、、と唖然とする。
冒頭のスカイツリーはこの映画の本質を図らずも表しているのだろうか

この映画のチープさ、支離滅裂さには目をつぶるとしてもこの業界人ネタの志の低さはどうしてもネガな評価になる
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