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空海 ーKU-KAIー 美しき王妃の謎のoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

2.0
【ネタバレなし】原作未読。

壮大で豪華なセットと見事に融合した派手なCGは、是非スクリーンで観ることをお薦めしたいのですが……。

かなり長い話をまとめたような印象がしました。
特に、中盤ようやく登場人物や話の流れに慣れて面白くなってきた途端、突然端折ったような展開。

おそらくこの映画を存分に楽しめるためには原作を読んでいるか、或いはこの時代の登場人物と相関関係をザックリと知っているのが条件なのかなぁ〜と思いました。

そしてCG技術をふんだんに駆使した幻術が、いわゆるファンタジー世界の魔法の中華版として、当たり前のごとく描かれることに違和感を抱かない寛容さ(笑)を持って観られる感覚も必要かもしれません。
ある意味、『陰陽師』での中途半端な特撮から、ようやく夢枕獏の表現したかった映像にたどりついた…のかも。

構成としては、空海と百楽天の”相棒”コンビの会話形式の推理と、幻術の絡んだ事件が交互に描かれます(ちなみに役回り的には空海=右京です)。

クライマックスに相当するレベルのCGを駆使した幻術が、冒頭から惜しげもなく続くので、感覚が麻痺してずっとフラットな状態になってしまっているように感じました。
しかも、空海と百楽天と猫が至れり尽くせりな程、丁寧に解説もしてくれるので、情報の嵐…みたいな。

残念だったのは、登場人物の名前ていどしか予備知識のない自分みたいな観客にとって、せめて衣装とかで身分の違いとかをもっと明確に表現して欲しかった。
事件の中心になる貴族階級の人たちがみな同じ雰囲気。
特に楊貴妃の旦那の玄宗皇帝が迫力と威厳がない(笑)
シーンによってはモブの中に紛れてしまっていたり…

ぶっちゃけ、もっと分かり易いトニー・レオンとか金城武とかブッキングできなかったのかなぁ〜と。
チャン・ルーイーのファンの方の目にとまったのならスミマセン。
決して彼が悪いということではなく、記号として分かり易い”皇帝感”が欲しかった。

CGはもう笑っちゃうくらい凄いので、予告とか観て興味があるようでしたら本当に映画館で観た方がいいと思います。
あのクオリティで全編通してやっています。
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