Melko

ディザスター・アーティストのMelkoのレビュー・感想・評価

3.9
”You’re tearing me apart Lisa!!!!!”

良いじゃない
こんな映画が
あったって

いつの間に追加されてたの!ずっとみたかった!この作品!
え!今日で見放題終わりじゃないか!!てことで駆け込み鑑賞!

俳優になりたい青年グレッグ。あがり症で、人前でマトモに演技できない彼は、演技クラスで異彩を放つ男トミーに出会う。年齢不詳な謎の金持ちトミーと交流するうちに、お互い「俳優になりたい」夢を語り合い、夢を追いかけL.A.へ。何のコネもなく飛び出してきた2人を待っていたのは、誰からも相手にされずオーディションも受からない辛い日々。腐りかけていた時、グレッグの発案でトミーは映画の脚本を書き始める。そして3年の時を経て、脚本は完成し、トミーの手(資金)により大勢のスタッフと演者が用意され、撮影が始まるのだが…というストーリー。

600万ドル(6億?!)という巨額の予算をかけて作られた、世紀の「駄作」映画 ”The Room”。
映画/脚本作り/撮影のノウハウを全く知らず、ロクな演技経験もない素人が、ただ、「自分が出演する映画を作りたい」というたった一つの目標の元、周りの人たちを散々振り回し巻き込んでいく。

そんな”The Room”の混乱を極める製作風景を後半にガッツリ据えつつ、それ以外のところは、謎の男トミーとグレッグの様々な感情でのぶつかり合いが主になっている。

正体・出自不明の謎の男トミー・ウィソー。ヒーロー「主役」になりたい彼は、どう見ても悪人顔。ニューオーリンズ出身と言い張るが、明らかに変なアクセント。無限の資本。友達が1人もいない。人間不信気味で、孤独を抱えている。
本作は、そんな彼になぜか強烈に惹かれた気弱なグレッグの成長物語でもある。

元ネタの ”The Room”は随分前にYouTubeでたまたま鑑賞できた。混乱の作品とだけ知識を入れて見たら、まぁ見事に全編意味が分からない(爆)
シーンごとの繋がりがなく、伏線もほったらかし、登場人物それぞれの行動が意味不明、突然始まる誰得?なトミーのケツ丸出しのラブシーン、そして問題の、トミーの世紀の棒演技(爆)
監督も主演もこなすトミー、こだわりの奇天烈場面のオンパレード。
予備知識入れずに見て、何を見させられたんだ?(自分で好んで見たんだけど)状態だった私、あのプレミア上映にいた観客たち程は楽しめなかったなー。これは確実に誰かと笑い合いながら見る映画だった。。

立ち振る舞いがイタすぎて、誰からも相手にされないトミー。悪い人ではないのだけど、傷つきやすく嫉妬深い。
そんな彼が大真面目に作った映画。いろんな人にバカにされながらもなんとかやり遂げた映画。プレミア上映で、客に盛大に引かれて笑われる。悲しみ傷つき、思わず退席するトミー。そんな彼を、グレッグが励ます。トミーのせいで散々迷惑被ったグレッグだけど、トミーがいなければここまで来れなかった。
「どうでしたか?俺のコメディは。」
狙い通りじゃなくても、観に来た人が楽しんでくれたら、それはもう立派に、愛すべき映画なんだ。自分の人生を投影したであろう映画を、コメディと言い切れるようになったんだから、それはもう成長👏

Disaster(壊滅的にひどい)Artistってタイトル、よくトミーOKしたなぁ成長👏

まあとりあえず主演のジェームズフランコの怪演が凄い。トミーよろしく、監督、製作、主演を担当。並々ならぬ思いだったのか、とにかく演技が神がかってる。およそあのイケメンのジェームズと思えないぐらいの変貌と憑依ぶり。とりわけ”The Room”の撮影シーンは、本当にこんな感じだったんだろうな、と感心するほどの再現具合。
グレッグ役と妙に息あってるなとおもったら、実の弟だったのか!!撮影楽しかっただろうなぁ。なんか異様にイキイキしてたもんなぁ。
トミーに振り回されてウンザリする共演者、スタッフ、みんなとにかくリアルでよかった。

あと、エンドロールで見られる、オリジナルと本作のシーンごとの比較映像がこれまた凄い。
身体の角度やセリフの間など、細かいところまで全員見事にオリジナルを完コピしてるのだけど、特にやはりトミーが憑依しちゃってるジェームズの演技がヤバい。もう、まんま。笑
セリフの間が全く同じでビックリ🫢
ミームでよく使われる超有名な、私が冒頭で書いた絶叫シーンなんか、もう…!

あ〜なんか見るの大変だったけど、色々酷すぎて笑いまくったし、まぁ面白かったな〜と思ってたら最後…まさかのご本人!
年数経て、演技上手くなってないか!?笑
なんか、良かったね!👏

……そう、”The Room”のストーリーは、そのあまりの支離滅裂さに、様々な考察を生んでいるのです…作ったご本人は絶対そこまで思い及んで作ってないと思うけど。。笑

調子の良いことはいくらでも言える。自分が一番大変で不利な時にそばにいてくれる人が、ホントの友達だよね。
Melko

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