今世紀最低の映画と呼ばれる作品があります。2003年に公開された"ザ・ルーム"は、ド素人で大金持ちのトミーという男が監督・脚本・主演で制作されました。
同じくカルト的な人気の作品を数々残した監督でエド・ウッドがいます。
エドとトミーは没才能という点で一見似ているようですが、決定的な違いがあります。
エドは第二次大戦帰還後の20代半ばからハリウッドに渡り、脚本・演出を学んだれっきとした映画人であったということです。
では、ミセス・ジェンキンスという女性をご存知のでしょうか。
クラシック界のパトロンで超絶な金持ちの彼女は、歌声に致命的な欠陥があるにも関わらずレコードの発売を敢行しました。
彼女の歌声の壮絶さは、伴奏のピアニストをオーディションする時に、唯一最後まで笑わなかったという男を採用したという逸話を残すほどでした。
映画"ディザスター・アーティスト"はそんなヘタウマな世界の住人となったトミーと、彼を支え続けたグレッグの奇妙な友情の実話です。
エド・ウッドが第二次大戦の戦地でも軍服の下にブラジャーを身につけたように、ミセス・ジェンキンスが騒音以上の自分の声を"完璧ね"と陶酔したように、トミーもまた内面のネジが数本外れていました。
凡作では半年後の記憶にすら残らない映画業界で、10年以上も最低映画として各地で上映され続けている"ザ・ルーム"。
どんなに馬鹿にされようとも諦めない、彼らの魂を描いたコメディー"ディザスター・アーティスト"はオススメの一本です!!