とらキチ

最終ラウンド/ファイナル・ラウンドのとらキチのレビュー・感想・評価

3.9
第2回インド大映画祭②
気性の激しさから協会から疎まれた優秀な女子ボクシングコーチが左遷されたチェンナイで黄金の才能を持った少女を見つけ、共に勝利を目指す。
「ダンガル きっと、つよくなる」「ビギル 勝利のホイッスル」と、意外とあるインドのスポ根モノ。
主演のコーチ役のマーダヴァンさん、あの「きっと、うまくいく」の3人の中で多分カメラマンを目指していた役の人だったと思うんですけど、その時と比べ、驚異のワイルド化&マッチョ化によって、とても同一人物には見えない!
当然ながら、ただのサクセスストーリーで終わるはずは無く、物凄い貧富の格差の中からいかにして這い上がるか、とかアマチュアスポーツの統括団体の内部腐敗の実情を描いている。その中で最も強烈だったのが、セクハラ問題。女子選手とコーチが寝ちゃうのが当たり前、むしろ強要されるという、アンビリーバボーで、闇の深い業界模様。
でも今作のプロットにもちょっと問題があって、このスカウトした少女が鍛えられていくうちに、コーチの事を好きになってしまう。その為に練習に身が入らなくなってしまったり、更には女同士の嫉妬が絡んじゃったりする。そんな色恋を入れてくるので、本来のテーマにしたかっただろう、セクハラ問題がボヤけてしまった印象でした。それでもラストに少女がセクハラコーチをブチのめして、マーダヴァンさんに抱きつく姿には感動しましたが。この手の作品には欠かせない特訓パートも良かった。
これは、女性の地位向上を訴えながらも、ワイルド&マッチョなマーダヴァンさんを愛でる作品でした。
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