たつなみ

blank13のたつなみのレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
3.5
『映画秘宝』に連載を持つ程の映画通、斎藤工氏の長編監督デビュー作ということでもの凄く気になっていた作品。

全編に渡り『緊張と緩和』の使い方が絶妙で、笑っていいのかいけないのかよく分からないギリギリの所を突いてくる不思議な雰囲気がとても面白い。
映画的な演出と大胆な構成はなかなか上手く、斎藤工監督の手腕を感じさせる。
さすが映画オタク。

人間には誰しも『多面性』がある。
たとえ許せないクソ野郎でも家族はソイツの『父親』としての顔を知っている。
残された家族のそんな整理できないグチャグチャな想いが痛いほど伝わってきた。
憎らしさと思慕の念を湛えた高橋一生の表情はとても良い!
あと奇妙な参列者の言動に笑いたくても笑えない雰囲気なんかも好き。

本当はもっと高得点にしたいが、どうしても許せない点が一点だけある。
それは、佐藤二朗という俳優の存在である。
彼は第二幕から唐突に現れるが、彼が話し出すととたんに福田雄一の作品の様なふざけた作風になる。
もうホントに彼のアドリブはクドくてうんざり…。
ハッキリ言ってこの人は全くこの作品にマッチしていない。

シリアスな展開からガラッと作風が変わるという点を売りにしたかったのかもしれないが、私にはかえって逆効果に思えた。
何とも言えない余韻を残す味のある終わり方だっただけにとても残念。

…でも次回作も期待してますよ😏