ピッツア橋本

blank13のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
4.4
“空白の13年をいま、お葬式で埋める!”

ギャンブルに明け暮れ、借金取りに追われていた父が家を出てから13年。
残された2人の息子が喪主を務めるそのクズな父のお葬式。
そこに現れた奇妙な父の知人たち(特に佐藤二朗)の告別によって、親族が知らない父の意外な人柄が明かされていく。

だいたいそんなあらすじの家族ドラマ。
それを監督兼出演の斎藤工や高橋一生、松岡茉優、リリーフランキー、佐藤二朗などなど豪華なメンバーや一流芸能人たちがあえてやるインディペンデント映画って感じのテイスト。
70分という尺も特殊だし、当時の上映スタイルも独特だったとニュースでやってた気がする。

オーソドックスなストーリーを演出で要所要所で崩していくような挑戦的内容で、良い方向に真面目と不真面目パートが静かにメリハリ効いていたように思う。

特に佐藤二朗が登場してからの空気の変わり様、転調がすごい。
飛び道具で野性爆弾のくぅちゃんが出てきたりと、ちょっと松本人志の映像コントみたいなシュールギャグも混じるけれど、
ちゃんと一本ドラマとして筋が通ってるからアクセントとして昇華されてる気がした。

ラストカットのお母さんのある種供養的な行為がエンディングのあの曲に溶けていく感じが見事で、泣いてしまった。

なんかすごくサッパリした読後感があって俺はこの映画が好きだ!

斜に構えつつ脱力してる良い映画だと思う。
ピッツア橋本

ピッツア橋本