タキ

ロニートとエスティ 彼女たちの選択のタキのレビュー・感想・評価

3.9
生まれ育った宗教コミュニティとロニートとエスティの同性愛、かつてのふたり親友で現在のエスティの夫でもあり、宗教上はラビでもあるドヴィッドの想いも絡み合い焦点がボヤけてしまった感がある。宗教的な側面から見てもラブストーリーとして見てもなんだかモヤモヤが残った。どう読み解けばよいのか迷っていたら三者の父権からの脱却がテーマであるとするレビューを読んで胸にストンと落ちた。

人は抑圧にどう立ち向かうのか? 『ロニートとエスティ』ラストシーンが象徴する現代的なテーマ
「つまり本作では、女性が自由を選択するためには、男性も変わらねばならないことがはっきりと示されている。」
「父権に対して『不服従(disobedience)』(本作の原題)であることこそが三人の共通の想いとなり、そのことで彼女たちは再び心を通わせることになる。」
https://realsound.jp/movie/2020/02/post-499027_2.html

コミュニティから逃げ出す選択だけを提示し女性だけの問題として矮小化してしまいそうなところをかろうじて踏みとどまり選択する自由を点ではなく線として見せることに誠実さを感じた。

公式ホームページに超正統派ユダヤ教のタブーについての項目があるので視聴前に見るとより理解が深まるので是非。
ロニートとエスティ公式サイト
超正統派ユダヤ教のタブーについて↓
https://www.phantom-film.com/ronit-esti/special/
このほかにも子だくさん自慢をするオバサンにロニートが産みすぎじゃないのと言うシーンがあったが避妊が認められていないというのもこの宗派の特徴のようだ。ホロコーストで600万人ものユダヤ人が殺されたため多産が奨励されているというのが理由らしい。
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