〝結局、善人は悪人に操られるだけ。操られていると思わない事が幸せなのかもしれない〟
じっくり腰を据え落ち着いて観れば、内面から来る心理状態が垣間みれジワジワとくる骨太なスペイン映画。
スペイン政府の汚い仕事を請け負い秘密裏に活動していた秘密捜査官の男が、今度はスペイン政府に贈賄の疑いをかけられた治安警備隊局長を手助けし国家と対立する。
スペイン国家を騙した一人の男の実話ベースの物語。
秘密捜査官〝パコ〟を演じるエドゥアルド・フェルナンデスの、もの静かで淡々と事を運ぶ大人の雰囲気が妙に心地よい。
淡々と落ち着いた空気を漂わせ物語が展開していき、スペインやフランスを舞台背景に登場人物ひとりひとりの微妙な心理状態がクローズアップされる。
騙しているつもりが、騙される…1番得をするのは誰なのか。
ド派手なアクションシーンもない…過激な暴力シーンもない…それでも何故か深く入り込んでしまう。
様々なクセのある協力者もいるが単なる道具でしかなく、実質すべては〝パコ〟ひとりの思い描くシナリオにスペイン政府は踊らされる。
しかし〝パコ〟が正義の味方でも善人でもなく、悪人対悪人の構図は変わらない。
いろんな意味でたったひとりの人間が、国家を揺るがすことができた事に感心してしまう。
巨額な報酬のため?国家への復讐?
自身にとって満たされない何かがあるのではないか…なんの為の行動か考えたくなる..★,