はりす

ある夏の送り火のはりすのレビュー・感想・評価

ある夏の送り火(2016年製作の映画)
1.0
物語冒頭から何故か登場人物が庭先、玄関の前で静止していて、日常感が無く、主人公の綾子はまるで煉獄に囚われてさまよっている霊に見える。
娘を亡くす苦しい場面を繰り返し見ている
まるでこの世に生きていない。

いくら自殺未遂をしたといえ死に直面した前後、娘を亡くしてすぐならわかるが2年も生きながらえてるのなら、その間飯を食べ排泄もし、風呂も入ってるのだからあそこまで心身ともに静止している演出には違和感しかなかった。
終始、地縛霊のように見える綾子なのにもかかわらず、旦那や娘の言葉で揺れ動き響いてるように音楽が鳴るちぐはぐさ。
心模様を説明しているような音楽が本当に邪魔をしていて集中できなかった。
はっきり言ってうるさくストーリーがなかなか入ってこない。

キラーメロディを1つ据えて、音を極力減らして欲しい。
とっちらかりすぎてあれだけ鳴ってるメロディーが全く印象に残らないのは致命的。

母親とその家族の喪失から再生を描いたと記事で書かれていたが、ラスト綾子が再生したとは感じられなかった。まだ煉獄にいるような、送り火とともに去るような存在感だ。

前後半とも重苦しく動きのない登場人物に動かない画面のせいか最終盤の送り火のシーンは突然ドキュメンタリーが始まったかと錯覚させるほど違和感と落差がある。

とても厳しい感想を抱いてしまったが、私が合わなかっただけなのかもしれない。
ただ観終わっても観客は救われない。

長女佳子役の眞鍋歩珠と川瀬陽太は好演している。
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