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不能犯のoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

不能犯(2018年製作の映画)
2.2
【ネタバレなし】今作の予告を観て興味を持ち、原作の一巻だけ予め読んでいました。

原作では新田真剣佑をそのままキャラにしたような新米の多田刑事がいますが、映画ではその多田刑事は中堅の女刑事になり沢尻エリカに変更。
その部下の別の新米刑事(原作にはいない)として真剣佑。
原作を知る人にはちょっとややこしい変更なんですが、映画として謎の"不能犯"宇相吹(松坂桃李)と中堅女刑事との対決という、画的には大正解だと思います。

更に原作では、僅かながら小ネタの笑いとか入ってましたが、映画では一切排除して独特のホラーテイストな雰囲気の映像化という意味ではかなり頑張った感じです。

宇相吹の顔はどこか生気がなく、死体のような色合いで松坂桃李のキモチ悪い演技も素晴らしかったです。

沢尻エリカは刑事としては大分線が細いんですが、やっぱ画面にアップで映ると本当に人間離れした綺麗さでした(笑)

漫画では小刻みにエピソードが終結するパターンですが、映画でもその原作のエピソードを多少改変しつつ映画の中に取り込んでいてかなり巧いです。

…しかし…

ここからは原作込みとの感想になってしまいますが(ネタバレ無しです)、実際に原作を読んでみるとちょっと拍子抜けしたような気分になりました。
設定とかキャラとか凄く興味をソソられたんですが、思っていたほど話しが広がらず、描こうとしている世界観が浅く感じてしまいました。
この設定とこのキャラをもっと掘り下げていけば、相当面白くなりそうな予感がしたのですが、取り敢えず一巻では主要キャラとは関係ない各エピソードごとに出てくる登場人物たちの話しが続くのみ。
もっとデスノートっぽい感じを期待してたんですが…

そんな感じで、自分としては映画の公開を待つことにしました。
結局映画の方も、質的には原作一巻にクライマックスをつけただけでした。
各エピソードを繋いで、アレンジして仕上げた組み立ては、純粋に脚本としては相当上手いです。

ただ、なんというか単に事件が解決しただけで、結局主要キャラの"不能犯"の宇相吹正とは何だったの?という、一番ウリの部分が一切語られることなく映画が終わってしまいました。

これをプロレス中継に例えるなら、時間の関係でメインエベントが放送さなかったような…気分…。

フツーに観やすいとは思います。
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