前作「2」では全く忘れられていたクルマ映画としての魅力が冒頭のレースシーンから炸裂。スピード感あふれるアングルと唸るエンジン音。そこに拘っているのが、何よりも「カーズ」らしくて良い。
そして、今回「クロスロード」は、文字通り人生の分岐点の話。主人公のマックイーンが自動車の技術革新に取り残され、新しい世代のスポーツカーについていけなくなってしまう。
人間で言えば、中年の挫折みたいな話で、さすがピクサーらしい、大人も楽しめるアニメ映画になっている。メーターを始めとするコメディ要員の活躍はやや控えめになっているのものの、元々そこは「カーズ」のオマケ要素でしかなく、クルマ映画としての迫力と、徹底した車の擬人化が楽しめるので、シリーズ物としての期待には十分応えてくれる。
ただ、やはり「カーズ」の世界観や登場するキャラクターって、アメリカンが過ぎるというか、全体的に親父臭いのだ。今回のテーマとなる中年の挫折も、マックイーンの努力というより、中年の開き直りのように見える。