ノラネコの呑んで観るシネマ

光のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
4.4
視覚障がい者のための、映画の音声ガイドを作る女と、光を失いつつあるカメラマンの男。
二人は時にぶつかり合いながらも、絆を強めてゆく。
「あん」に続いて社会的マイノリティの存在を絡めながら、光の芸術から光を封じた状態で「映画とは何か」を問う、大変な野心作だ。
女と男は共に心に傷を抱え、未来を生きるためには、過去に区切りを付けなければならないことを知っているが、大切なものを捨てるのは簡単ではない。
二人の心の旅路が、極めて映像的な劇中劇のラストを、どう音声ガイドで表現するかという葛藤に、象徴的に集束するのは上手い。
綿密に取材を重ねたのであろう、音声ガイド作りのために、なんども繰り返されるディスカッションのシーンが非常に秀逸。
見えないけど、"入れる"という表現にはハッとさせられた。
しかし河瀬直美監督はどっちかと言えば苦手だったはずなんだが、ここ二作はスッと入れたな。
ブログ記事:
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