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gifted/ギフテッドのpanpieのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.0
「わたしたち」で子役の素晴らしさを実感したが実はその前に何とも愛らしい子役と出会ってしまった。
実際は11歳だそうで実年齢よりとても小さく見えて7歳の役を無理なく演じたマッケナ・グレイスに心奪われた。
時に聡明で時に子供らしく時に熱唱しながらのダンスはなんて可愛いの!
今の時期ならあの黒々と長いまつ毛に降った雪が積もりそうなつけまの様なくるりんとしたまつ毛とちょっと垂れ目な彼女のころころ変わる表情にいつも釘付けだった。

ストーリーはベタだと言わざるを得ないのだけど嫌いじゃなかった。
7歳のメアリーはギフテッドと呼ばれる数学の天才児だったが叔父のフランクは学校の勧めを振り切って頑なに普通の子に様に育てたいと言う。
メアリーの母でありフランクの姉であるダイアンはメアリーをフランクに預け命を絶っていた。
そこへメアリーとフランクの母親であるエヴリンが突然現れメアリーの才能に見合った教育を受けさせたいと申し出る。

フランクの母でメアリーの祖母であるエヴリンは娘のダイアンの忘れ形見のメアリーに自分と娘の成し得なかった夢を託そうと必死になる。
それがメアリーの普通の成長を妨げる結果になっても見限った息子の喜びを奪おうとも構った事かと言う程自分の果たせなかった夢に固執し躍起になって訴訟を起こす。
ここがアメリカ人のわからない所で身内も何もお構いなしに訴えるのだ。
親子だから逆に愛憎深いのかもしれないけれど理解に苦しむ。
大人本位でメアリーの本当の幸せは何なのかとほんの少しでも考えたらこんな事にはならないと思う。
裁判での結果はメアリーが12歳になったら選択出来るというかなり先の未来に選択権を残したややメアリーに寄り添った判決となったと見せかけての結果に観ている私も怒り心頭だった。
一番どれがメアリーにとって最良の選択なのか大人達は分かろうともしない。
彼女の為と言いつつ誰も彼女の気持ちを聞こうとしない。
フランクはこの結果に悔しさが残るがそれもメアリーの為を思って暫し我慢をするも回りくどいやり方に気付いてキレてメアリーを連れ去る。
自分を捨てて里親のいいなりに会いに来ない事に怒って抱きつきながら暴れて叫び激しくフランクを叩くメアリー。
このシーンは涙が止められなかった。

私には孫がいないし天才数学者ではないけどエヴリンの気持ちが全くわからない訳でもなく天才の家系がもたらす悲劇に理解できないまでも胸が痛んだ。
子供の将来を考えた時娘が自殺して孫を託されなかっただけでもう答えは見えていた筈。
それがラストで分かった時にエヴリンはどう理解したのだろう。
娘を死に追いやったのが母親である自分だったと、同じ轍を踏もうとしていた事に気付けただろうか。

とても泣ける話だったけど姪の先生とは理性が働いて寝ないと思うしフランクも数学の天才の血を引く者としての挫折なりそこの所が
描き足りない気がした。

そこを置いておいてもメアリー役のマッケナ・グレイスを見るだけでも価値のある素晴らしい演技!
「アメイジングジャーニー」「ドリーム」を見逃してしまったがロベルタ役のオクタヴィア・スペンサーがまたいい役だ。
ロベルタとメアリーが歌い踊る所は見せ場でありメアリーの魅力がぎゅっと詰まっていた。
母親は居なくともメアリーは叔父のフランクの他に近所に住むロベルタにも愛されて育っていたと分かるシーン。
私も孫が出来たら色んな自分好みの曲をたくさん聴かせて一緒に熱唱したいなって思ってしまった。笑
短かったけどとてもいいシーン。

後ね普通の小学校で同級生の男の子が作った動物園のジオラマの様な図工の作品を上級生のいじめっ子が転ばせて壊すシーンのメアリーがいい!
先生はそれを怒っていたけど私が親だったら弱いものいじめをしたいじめっ子をやっつけた事は褒めてしまいそう。
まぁ暴力を振るわないで解決するのがベストだけどメアリーのいじめっ子は許さん!という態度は十分健全に育っていると思われます。

やはり天才は遺伝するんですね。
心配は全くいらないのですが観た後一瞬ですが考えちゃった。(^^;;
どれが一番その子の為を思っているか。
ラストのフランクのとったカタチが究極だと思われるが現実問題だと送り迎えが大変そうだな。笑
でも神様から与えられた才能を伸ばす事も義務であるしメアリーの年相応の感性を育てる事も義務だと思うしエヴリンに任せないでフランクが頑張れるならそれが一番メアリーの為になるんだと思った。
男性が綺麗事では片付けられない育児という大変さを乗り越えたフランクには十分親の資格があると思う。
頑張れフランク!
頑張れメアリー!
ベタだけど最後は清々しい気持ちで劇場から帰る足取りは軽い様に思った。
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